東大の自由英作文には、「いくつかの候補の中から一つを選び、なぜそれが最良かを述べよ」という設問がしばしば登場します。たとえば「最も偉大な発明は何か」「最も重要な学校行事は何か」といったお題です。一見やさしそうに見えますが、実は「選んだ理由が“比較”になっていない」答案が量産される、地味に落とし穴の多い形式です。
このページでは、この選択・比較型(`英作文 選ぶ 理由`/`東大 英作文 比較`)に絞って、他の候補を上回る理由を論理的に示す書き方を解説します。選定基準を先に置くという一手で答案がぐっと締まること、完成モデル英文(80語・和訳・採点解説つき)、そしてやりがちな失点まで、この1本で押さえられます。
東大英作文の全体像(6つの出題形式・配点・テーマ傾向)は、ピラー記事[東大英語 第2問 自由英作文 完全攻略ガイド](/utokyo-english-composition-guide/)にまとめています。形式ごとの位置づけを俯瞰したい人は先に読むと理解が早いです。
選択・比較型とは? どんな設問で出るか
選択・比較型は、複数の選択肢が(暗に)並んでいて、その中から一つを選んで擁護するタイプの設問です。近年の東大では、次のような形で問われる傾向があります(表現は年度により変わるため、本番では設問の指示を必ず確認してください)。
- Which do you think is the greatest invention in human history?(人類史上最も偉大な発明は何か)
- What is the most important thing you have learned in school?(学校で学んだ最も大切なことは何か)
- If you could keep only one of them, which would you choose?(一つだけ残せるなら、どれを選ぶか)
ポイントは、`the greatest / the most important / the best` という最上級が設問に入ること。つまり採点者は「あなたがAを選んだ理由」だけでなく、「なぜB・Cではなく、あえてAなのか」という相対評価を見ています。ここが二者択一型(AかBか)や賛否型(賛成か反対か)と似て非なる点です。
(根拠KW:`英作文 選ぶ 理由`/`東大 英作文 比較`/`一番の発明 英作文`/`最も重要な 英作文` — rakko keyword 2026-07-15)
攻略の型:選定基準を先に置き、他候補と比べて締める
選択・比較型でスコアが伸びる答案は、ほぼ例外なく次の3ステップを踏んでいます。
ステップ1:選定基準(criterion)を1文で宣言する
いきなり「私はAを選ぶ」と書き出すのではなく、「そもそも“最良”を何で測るのか」という物差しを先に示します。これが選択・比較型の最大のコツです。
- The greatest invention is the one whose effects last longest.(最も偉大な発明とは、その影響が最も長く続くものだ)
- The best rule is the one that helps the most people.(最良の決まりとは、最も多くの人を助けるものだ)
基準を先に置くと、以降の比較がすべて「その物差しに照らして」進むため、論理がぶれません。逆に基準がないと「Aが好きだから」という感想文に落ちます。
ステップ2:基準に照らして候補を比べ、選ぶ
宣言した基準で選んだAが最も高く評価されることを示します。ここで`meets it best`(最もよく満たす)`better than …`(〜より優れている)といった比較の語を使うと、相対評価が明確になります。
ステップ3:他候補に一言触れて「それでもA」と締める
強い答案は、あえて対抗候補B・Cに触れて、それでもAが上回る理由を添えます。`The wheel and the internet also changed the world, but neither …`のように、他を認めた上で退ける一文があると、「ちゃんと比較した」という説得力が生まれます。
この3ステップも、土台は[主張→理由→具体例→まとめの基本テンプレ](/utokyo-english-composition-template/)と同じです。①主張を「基準+選択」に、③具体例を「他候補との比較」に差し替えるだけ。テンプレを先に体に入れておくと応用が一気にラクになります。
完成モデル英文:お題「最も偉大な発明は何か」
選択・比較型の代表例で実演します。
お題:Which do you think is the greatest invention in human history? Write your answer in 60–80 words.(人類史上、最も偉大な発明は何だと思うか。60〜80語で答えなさい。)
完成モデル英文(80語)
Among all human inventions, I believe writing is the most important. My criterion is that the greatest invention is the one whose effects last longest. Writing meets it best, because it alone lets knowledge outlive its creator. The ideas of ancient thinkers still reach us only because they were written down, whereas spoken words vanish. The wheel and the internet move goods and data, but neither preserves thought across centuries. Therefore, writing has shaped humanity more than any other invention.
和訳
あらゆる人類の発明の中で、私は文字が最も重要だと考える。私の基準は、「最も偉大な発明とは、その影響が最も長く続くものだ」というものだ。文字はこの基準を最もよく満たす。文字だけが、知識をその作り手より長く生き延びさせるからだ。古代の思想家の考えが今なお私たちに届くのは、ひとえにそれが書き記されたからであり、話し言葉は消えてしまう。車輪やインターネットは物やデータを動かすが、いずれも何世紀にもわたって思考を保存することはできない。ゆえに、文字は他のどの発明よりも人類を形づくってきたのだ。
なぜこの答案に点が来るのか(採点4観点で解説)
- 内容:最初に選定基準(影響の長さ)を宣言し、その物差しで文字を選んでいます。設問の`the greatest`という相対評価にまっすぐ答えられています。
- 構成:基準の宣言→基準を満たす理由→他候補(車輪・インターネット)との比較→結論、という選択・比較型の型どおり。`whereas`(対比)`but neither`(他を退ける)で比較の骨格が読み手に一目で伝わります。
- 語彙・文法:`meets it best` `outlive its creator` `whereas … vanish` `neither preserves …`と、難単語でなく比較・対比の構文で見せています。背伸びした単語のミスより高評価です。
- 語数:80語ちょうどで指定内。基準と比較に語数を厚く配分できています。
「文字」という抽象度の高い題材でも、基準を1本通せば感想文にならない——これが選択・比較型の勝ちパターンです。
やりがちな失点3つ
選択・比較型は、書けているつもりで点を落とす人が特に多い形式です。
失点1:選んだ理由が「比較」になっていない
最頻出の失点。「文字は素晴らしい。なぜなら記録を残せるから」——これはAの長所を述べているだけで、B・Cを上回る理由になっていません。設問は最上級(most / greatest)で問うているのに、答案が「Aは良い」で止まると、相対評価の観点で点が伸びません。必ず「他より」の一言(`more than …` `better than …` `unlike B …`)を入れること。
失点2:候補を一つに絞らず、複数選んでしまう
「文字も車輪も重要だ」と二つ以上を選ぶのは致命傷です。設問が一つを選べと言っている以上、複数選択は「設問に答えていない」=内容点の大幅減。どんなに迷っても一つに絞り、他は“退ける対象”として使うのが鉄則です。
失点3:基準がなく、感想の羅列になる
物差し(criterion)を置かないまま「便利だから」「役に立つから」と書くと、なぜそれが“最も”なのかの説明になりません。冒頭で基準を1文宣言するだけで、この失点はほぼ防げます。
なお、こうした形式特有の失点に加えて、冠詞・時制・スペル・語数オーバーといった全形式共通の「知っていれば防げた減点」も要注意です。[東大英作文でよくある減点ポイント](/utokyo-english-composition-deductions/)で先につぶしておきましょう。比較・対比で使う定型表現は[論理接続・定型フレーズ集](/utokyo-english-composition-phrases/)にまとめてあります。
イエナアカデミーの東大英語 指導実績
- 東大実戦模試 英語 偏差値 68.3(在籍生実績)
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よくある質問(FAQ)
Q. 他の候補にはどれくらい触れればいいですか?
A. 1文で十分です。`The wheel and the internet also changed the world, but neither …`のように、他を軽く認めてから退ける一文を1つ入れれば「比較した」と伝わります。触れすぎると主役のAが薄くなるので注意。
Q. 選定基準が思いつきません。
A. 「影響の長さ」「助かる人の多さ」「なくなったときの困り具合」など、汎用の物差しを2〜3個ストックしておくと便利です。どのお題でもどれか一つは当てはまります。
Q. マイナーな選択肢を選んでも大丈夫ですか?
A. 問題ありません。東大は選択の“正しさ”ではなく、基準に照らした論理の一貫性を見ています。定番でなくても、基準で上回る理由を示せれば加点対象です。
まとめ
- 選択・比較型は、最上級(most / greatest)で「複数から一つを選ぶ」形式。採点者は「なぜ他ではなくそれか」の相対評価を見ている。
- 勝ちパターンは①選定基準を1文で宣言→②基準で選ぶ→③他候補に触れて“それでもA”と締めるの3ステップ。
- 完成モデルのように、基準を1本通せば抽象的な題材でも感想文にならない。
- 三大失点=理由が比較になっていない/複数選ぶ/基準がない。冒頭の基準宣言でまとめて防げる。
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関連記事:[完全攻略ガイド(ピラー)](/utokyo-english-composition-guide/)|[基本テンプレ(主張→理由→具体例→まとめ)](/utokyo-english-composition-template/)|[使える定型フレーズ集](/utokyo-english-composition-phrases/)
※在籍生の実績・指導事例に基づく一般的な解説であり、特定の得点や合格を保証するものではありません。語数・配点など東大の出題仕様は年度により変わる場合があるため、最新の募集要項・過去問で必ずご確認ください。
