東大英作文2(A)定義型の解答例6本|同じ問いに、定義の違う6通り

東大英語の第2問(A)——60〜80語の自由英作文。当校の無料添削では、答案をお返しするときに「あなたが置いた定義のままで、もう一段詰めるとこう書けます」という解答例を一緒にお送りしています。

この記事では、同じ問いに対して、置いた定義がまったく違う解答例6本を全文掲載します。

  • 6本は、定義の切り口が別物です。それでも6本とも、当校の練習用の基準では減点のない形に収まりました。自由英作文は「置いた定義が唯一の正解かどうか」で決まるものではありません。
  • 6本には共通する構成があります。それが本記事の主題です。
  • 構成を満たしても、1か所の冠詞や1語の代名詞で評価は変わります。推敲の過程で書き直した10か所も最後に一覧にしました。

最初に、この記事の前提をお伝えします

  • 6本の英文は、すべてイエナアカデミーが作成した解答例です。受講生の答案ではありません(受講生の答案を扱う事例記事は、本人の同意を得たうえで匿名化して掲載しています)。
  • 設問 `What does it mean to be wise?` は、当校が練習用に作成した課題です。東大の過去問ではありません。語数条件は60〜80語に揃えています。
  • 「減点なし」は、当校が練習用に設計した16点の基準(内容6・構成3・文法5・語彙2)での評価です。東京大学は英作文の採点基準を公開しておらず、本記事の評価は東大の実際の採点を再現するものではありません。本番の得点を保証するものでもありません。
  • 評価は、当校の基準を与えたうえで2つの異なるAIに独立して採点させ、両方が「減点なし」と判定するまで書き直すという手順で行いました。AI同士が一致したことは正しさの証明ではありません。最終的にどの指摘を採るかは当校で判断しています(実際に、片方が満点と判定した英文に、もう片方が妥当な減点を見つけた例があります。後述します)。
目次

設問

What does it mean to be wise?(60〜80語の英語で答えよ)

東大の2(A)は年度によって形式が変わります。ここで扱う「○○とはどういうことか」を説明させる定義型は、当校が練習課題として使っている形式です(出題形式の整理は東大英作文の完全ガイドにまとめています)。

この語数でまず効いてくるのは、前置きを1文書くと、そのぶん使える語数が減るという事実です。「I think there are many opinions about this question, but…」のような導入は、それ自体が誤りではなくても、具体例を書くスペースを削ります。

6本に共通する構成

6本はすべて、この4つの部品でできています。順番も同じです。定義型の練習に使いやすい構成例として読んでください。すべての設問にこの順序が必要だという意味ではありません。

1. 定義を言い切る(1文目)。前置きを置かず、`Wise people are those who …` の形でいきなり定義に入る。 2. 具体例を1つ置く。〈誰が・どんな状況で・何をするか〉が絵になる水準まで具体化する。 3. その例が定義をどう支えているのかを1文で書く。例を置いたあと、ここを書かずに結論へ進んでしまう答案を当校の添削でもよく見ます。 4. 定義を言い直して締める。1文目で使った核になる語に戻る。単なる反復より、1文目に情報を1つ足した形のほうが締まります。

あわせて、6本で意識している書き方が5つあります。いずれも当校が練習時に重視している観点で、文法規則ではありません。

  • 平易な語で書く。 6本に使われている動詞は know / ask / listen / wait / give といった水準です。難しい語や凝った構文は使っていません。
  • 同じ対象を指す人称を揺らさない。 6本は `Wise people … they / their / themselves` を軸にしています。総称の複数から具体例の単数へ移るのは自然な絞り込みですが(⑤がその例)、同じ対象を `you` と `a wise person` と `we` で呼び替えると読みにくくなります。
  • 前の文全体を指すときは、名詞で言い直す。 `This is important.` で済ませず、①の `That pause is …` のように〈指示詞+要約名詞〉にすると、何を指しているかが確定します。普通の代名詞(`it` など)は、先行詞が一つに決まるなら問題ありません。
  • 単数可算名詞には限定語を確認する。 判断の順序は「その対象が文脈で特定できるか」です。特定できるなら `the`、特定されていないなら `a/an`。初出かどうかではなく、読み手がどれを指すか分かるかどうかで決まります。複数名詞・不可算名詞には同じ判断がそのまま当てはまりません。
  • 一般化には支えを付ける。 「誰も〜できない」のように根拠なく言い切ると、内容の評価が下がります。⑤の `because` 以下、⑥の `that ends in sympathy` のように、理由や限定を添えます。

解答例6本

① 行動の影響を、前もって見通せること(76語)

Wise people are those who can see, before they act, how their actions will affect the people around them. For example, when they are angry, they do not send a message at once. They wait until they can imagine how their words will be read. That pause is itself part of being wise, because it gives them time to weigh what their words will do. Wise people, then, are those who think twice before they act.

読みどころ:例が「怒っているときにメッセージをすぐ送らない」という日常の一場面まで下りています。`That pause`(その間)で前の文をまとめ、`because` 以下で「なぜ間を置くことが賢さなのか」を説明しています。最後の `think twice before they act` が、1文目の `before they act` に戻ります。

② 知っていることを、人との間で使えること(74語)

Wise people are those who know how to use what they know when they deal with other people. For example, when two friends argue, wise people do not simply decide who is right. They listen to both sides, find what each one really wants, and suggest a way both can accept. Knowledge alone cannot settle such a quarrel. Wise people, then, are those who turn what they know into decisions that work for everyone.

読みどころ:`Knowledge alone cannot settle such a quarrel.` が、例と定義をつなぐ1文です。知識があるだけでは言い争いは収まらない——だから賢さは知識そのものではなく使い方だ、という橋渡しになっています。

③ どの考えを受け入れるかを、自分で決められること(74語)

Wise people are those who decide for themselves which ideas are worth accepting. For example, when a popular post tells them what to think about a news story, they do not simply pass that opinion on. They ask who wrote the post and what evidence it offers. An opinion accepted without such questions is not yet their own. Wise people, then, are those who accept an idea only after they have tested it themselves.

読みどころ:「疑う」で止めず、疑うとは具体的に何をするのかを2つの基準で書いています(`who wrote the post` と `what evidence it offers`)。「批判的に考える」と書くだけの答案との差は、ここに出ます。

④ よりよく生きる方法を知っていること(79語)

Wise people are those who know what really makes a life better. For example, when a friend asks whether to quit a club after one bad week, wise people do not simply say what sounds kind at that moment. They say what will still help that friend a year later. Kind words can comfort someone today and leave the real problem untouched. Wise people, then, are those who know how to live better and help others do the same.

読みどころ:「よりよく」という曖昧な語に、`at that moment`(その場)か `a year later`(1年後)かという判断の時間軸を加えています。何が「よりよい」状態かまでは書いていませんが、抽象的な語を定義に置くときは、こうして比べる軸を1つ示すと説明しやすくなります。

⑤ 限られた時間の中で、何を手放すかを判断できること(76語)

Wise people are those who know what to give up when time is limited. For example, a student who wants a perfect score and enough sleep must decide which matters more tonight. A wise student gives up the last hour of study, because a tired mind wastes the next day. Trying to do everything is not the same as being wise. Wise people, then, are those who give up what matters less when time is short.

読みどころ:`Trying to do everything is not the same as being wise.` で、似て非なる概念(全部やろうとすること)を明示的に外しています。定義型では「それは賢さではない」を1文入れると輪郭が出ます。なお3文目は「勉強しなくてよい」という主張ではなく、2つを両立できない夜にどちらを選ぶかという判断の例です。

⑥ 学んだことを、他者のための判断に変えられること(77語)

Wise people are those who learn widely and then judge what they should do for others. For example, after reading about a food shortage abroad, they do not stop at feeling sorry. They ask which groups actually bring food to the people there, and then they give what they can spare. Learning that ends in sympathy changes nothing outside the mind. Wise people, then, are those who let what they learn decide what they do for others.

読みどころ:`which groups actually bring food`(どの団体が実際に食料を届けているか)という基準による選択と、`give what they can spare`(出せる範囲で出す)という中身のある行為。この2つで、1文目の `judge`(判断する)を宣言ではなく場面として見せています。

6本を並べて見えること

置いた定義1文目の核になる語例の場面語数
① 影響を前もって見通すbefore they act怒っているとき76
② 知識の使い方use what they know友人2人の言い争い74
③ 自分で吟味するdecide for themselvesSNSの投稿74
④ よりよく生きる方法makes a life better部活をやめるか迷う友人79
⑤ 何を手放すかknow what to give up満点と睡眠のどちらを取るか76
⑥ 学びを他者のためにlearn / judge海外の食料不足77

②と⑥は「学んだことを人との関係で生かす」という点で近いものの、6本の切り口はおおむね重なりません。それでも6本とも、当校の基準では減点のない形になりました。当校の基準で見ているのは、設問の語の意味から外れていないことを前提に、置いた定義と具体例・結論が噛み合っているかです。「東大が求める『賢さ』の唯一の正解」を探しに行くと、手が止まります。

推敲で書き直した10か所

上の6本は、最初からこの形だったわけではありません。書き直した箇所を一覧にします。自分の答案を見直すときの観点として使えます。右端の列は、当校の基準でどの観点に影響したかです。

#書き直し前書き直し後影響した観点
1`send the message`(どのメッセージを指すのか読み手に特定できないのに `the`)`send a message`文法
2`your actions` → `a wise person` → `you` が同じ答案に混在`Wise people … they / their` を軸に統一文法・読みやすさ
3`To be wise means to improve social affairs.`(社会をよくすること)`… means being able to judge what we should do for others`内容
41文目は conventional ideas、2文目以降は information の話1文目に置いた語を最後まで使う内容
5`no one can think that far ahead in a hurry`(根拠のない言い切り)理由の説明に置き換え(`because it gives them time to …`)内容
6`They ask what they can do, and then they do it.`(何をしたのかが書かれていない)`they give what they can spare`(行為を1つ書く)内容
7結論が「言葉」だけに限定され、定義より狭くなっていた1文目の核になる語に戻す構成
8`give up the rest`(何の「残り」か本文にない)`give up what matters less`文法・内容
9`an action reaches others`(行動が「届く」)`how their actions will affect …`語彙
10`so they do not end up with neither`(not と neither の衝突)肯定文で言い換える文法

3番について補足します。行為の形で定義すること自体が誤りではありません。`Being wise means thinking carefully before acting.` は成立する定義です。書き直した理由は、「社会をよくすること」という結果だけを置いた状態では、それが賢さのどういう側面なのかが説明されないままだったからです。行為で定義するなら、誰のどんな判断なのかまで書くと通ります。

6番は、2つのAIで判定が割れた箇所です。片方は減点なしとし、もう片方が「`they do it` では、賢い人が実際に何をしたのかが一度も書かれていない」として内容を1点引きました。書き方(文法・語法)と主張の精度(内容)は、読む人によって指摘の置き場所が変わります。両方の指摘に応えると、評価は安定します。

書く手順

1. 定義を日本語で1文つくる。 「賢さとは、○○である」。このとき、設問の語(wise)の意味から離れないことを確認します。離れると、語彙の観点で評価が下がります。 2. その定義が成り立つ場面を1つ思い浮かべる。 人物と状況を決めます。抽象論のままにしません。 3. 「その場面が定義をどう支えるのか」を1文で決めておく。 ここを先に決めると、本文で飛ばさずに済みます。 4. 結論は、1文目に情報を1つ足した形にする。 5. 英語に落とすのは最後。知っている語だけで書きます。

定義は1つに決まりません

この6本のどれも「東大が求める賢さの定義」ではありません。定義を1つに決める必要はありません。ただし、設問の語の意味に沿っていて、具体例と理由で説明できる定義を選んでください。どんな定義でも内部で筋が通っていればよい、という話ではありません。

暗記するなら、答案ではなく構成(定義 → 例 → 支え → 言い直し)のほうです。

東大英作文の全体像は東大英作文の完全ガイド、定義型の書き方そのものは定義型の書き方、頻出の減点は東大英作文でよくある減点ポイントにまとめています。実際の答案をどう直したかはこれが、合格答案。13点/16点、定義は合っていた。それでも6点/16点。、同じ64語で、具体例が入った。をご覧ください。

あなたの答案も、この基準で添削します(無料)

この記事と同じ基準・同じ形式の添削を、無料で受けられます。LINEで手書きの答案を写真で送っていただくだけです。返却時にお付けするのは、答案の書き起こし・観点別の点数・指摘一覧・書き直し例です。ご希望があれば、あなたが置いた定義のまま書き直した解答例もお送りします。

採点は、当校が設計した基準をAIに与えて行い、お返しする前に当校で内容を確認しています。回数の制限は設けていませんが、お返しまでに数日いただくことがあります。

東大英作文の無料添削を受ける(LINE公式)


※採点基準について:東京大学は英作文の採点基準を公開していません。本記事の点数はすべて、受講生が受験した駿台の東大実戦・河合塾の東大オープンの答案採点実績と、合格者の得点開示との照合を積み重ねてイエナアカデミーが独自に設計した基準(16点満点=内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。当校独自の基準であり、東京大学および各予備校の公式な基準ではありません。「減点なし」という評価も同じ基準に基づくもので、東大の実際の採点を再現するものでも、本番の得点や合否を保証するものでもありません。東京大学および各予備校の関係者は本コース・本記事に一切関与していません。

※採点はイエナアカデミーの専門家が設定した採点基準の上でAIが行っており、その正確性は保証しておりません。厳密な判断については信頼のおける方にお尋ねください。なお、AIは語数のカウントが苦手なため、語数による減点は行っていません(本記事に記載した語数は人の手で数え直しています)。

※本記事の英文6本と設問は、すべてイエナアカデミーが作成したものです。受講生の答案は含まれていません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次