東大対策・大学受験ガイド> 科目別対策(理科)
東大物理の過去問は、「最低10年分を、2科目150分のセットで、時間を計って解く」が基本形です。ただし東大物理は年度による難易度の振れ幅が大きく、同じ10年分でも「どの順番で、どう復習するか」の設計しだいで得られるものが大きく変わります。
この記事では、東大合格者530名の開示得点をイエナアカデミーが独自集計したデータを踏まえて、過去問演習の開始時期・年度別の難易度の見方・具体的な回し方までをまとめます。物理の全体戦略は東大物理の対策完全ガイドをご覧ください。
前提:東大物理の試験構成と過去問演習のゴール
まず、過去問演習で再現すべき本番の条件を確認します。
- 試験時間:理科2科目あわせて150分。物理単体の時間区切りはなく、2科目の時間配分を自分で設計する必要があります。
- 配点:理科2科目で120点満点(物理は60点満点)。小問ごとの配点は非公表で、大問1題あたり20点前後と推定されています。
- 出題構成:大問3題。第1問が力学、第2問が電磁気でこの2分野はほぼ毎年出題。第3問は波動・熱力学・原子から出題されます。
ここから導かれる過去問演習のゴールは明確です。「全問を解き切る練習」ではなく、「150分の中でどの設問を確保し、どこで部分点を拾い、どこを捨てるかを判断する練習」。東大物理の過去問は、この判断力を鍛えるための最良の教材です。
なぜ今、過去問演習の質が合否を分けるのか(開示データ)
当社が集計した理系合格者の二次試験・教科別平均(開示得点)は次の通りです。
| 教科(満点) | 2024平均 | 2025平均 | 2026平均 | 3年間の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 英語(120) | 80.8 | 77.5 | 65.9 | −14.9点 |
| 数学(120) | 68.8 | 57.4 | 48.7 | −20.1点 |
| 理科2科目(120) | 70.2 | 65.1 | 76.0 | +5.8点 |
英語・数学の平均が3年連続で大きく下がる中、理科だけが上昇しています。理科2科目で80点以上を取る合格者の割合は14%→12%→36%と急増し、2026年度は二次合格最低点への寄与率で理科が首位(34.7〜37.0%)に立ちました。
つまり、いまの東大入試では理科の演習量と演習の質が、そのまま合否に直結する構造になっています。物理の過去問演習は「高3秋にやるもの」という従来の常識のままでは、この変化に乗り遅れます。全体のデータは東大合格最低点【2024〜2026】で詳しく解説しています。
東大物理の過去問は何年分解くべきか
目安は最低10年分です。ただし、10年分を一律に消化するのではなく、目的別に2段階に分けることをおすすめします。
| 段階 | 分量の目安 | 目的 | 解き方 |
|---|---|---|---|
| 分析用 | 直近3〜5年 | 出題形式・誘導の型を知る | 時間無制限でじっくり。誘導の意図を言語化する |
| 実戦用 | 5〜10年分+直近年度 | 時間配分と捨て問判断 | 化学とセットで150分を計測。本番と同じ順序で |
- 分析用は高2後半〜高3前半に。まだ全範囲が終わっていなくても、力学・電磁気が既習なら第1問・第2問だけ解く形で始められます。
- 実戦用は高3秋以降に。必ず理科2科目セット・150分計測で解いてください。物理単体で60分計って解く演習だけでは、本番で最も事故が起きやすい「2科目間の時間繰り」の練習ができません。
- 直近1〜2年分は「最後の模試」として直前期まで残しておくやり方も有効です。
いつから始めるか:高2後半スタートが新しい定石
過去問というと高3秋からのイメージが強いですが、開示データが示す「理科が合否を分ける」構造を踏まえると、高2後半には過去問に触れ始めるのが現実的な逆算です。
- 高2後半:力学・電磁気の既習範囲で、分析用の過去問(第1問・第2問)に着手。「東大物理がどんな試験か」を早く知るほど、その後の問題集演習の精度が上がります。
- 高3春〜夏:全範囲の修了と標準問題集の完成を優先。過去問は月1〜2回のペース維持で十分です。
- 高3秋以降:実戦用の2科目セット演習を週1回ペースで回し、捨て問判断と部分点回収を仕上げます。
多くの高校では物理の全範囲が終わるのは高3の夏以降で、そこから過去問を始めると演習期間は数ヶ月しか残りません。直近データでは合格者の理科2科目平均が76.0点まで上がっており、先取りで演習期間を確保できるかどうかが、そのまま理科の得点差につながりやすい構造です。学年別の詳しい進め方は「理科はいつから?」東大理科の早期着手ロードマップにまとめています。
年度別分析:難しい年・取りやすい年をどう扱うか
東大物理の過去問を解くうえで最初に知っておくべきは、年度による難易度の振れ幅の大きさです。
- 2023年度は「過去最難」と受験生の間で広く語られる難化年で、「東大物理2023 やばい」が定番の検索語になっているほどです。
- 2024〜2025年度は難度が高止まりしつつ、誘導が比較的丁寧なセットとされています。
- 2026年度は理科全体で得点しやすく、合格者の理科2科目平均は3年間の最高値(76.0点)を記録しました。
過去問演習では、この振れ幅を逆に利用します。
- 難しい年(2023年度など):点数は気にせず、「どの設問を捨てるべきだったか」を検証する捨て問判断の教材として使う。難問は解き切ることより、序盤の設問だけ確保して撤退する練習に価値があります。
- 標準的な年:時間内に取るべき設問を取り切る「合格点シミュレーション」として使う。
- 出来に一喜一憂しないこと。難化年と易化年では、同じ実力でも得点率が大きく変わります。点数そのものより「取るべき設問を取れたか」で振り返ってください。
年度ごとの難易度の詳しい変遷は東大物理の難易度推移・年度別分析で扱っています。
過去問の復習法:合格点は「部分点の設計」で決まる
東大物理の過去問は、解いた後の復習が本体です。次の3点をノートに残してください。
1. 設問単位の取捨の検証:「解けなかった問題」ではなく「手を付けるべきでなかった問題」を特定する。各大問の前半(設問1〜2)は標準的な設定が多く、ここを確実に回収するだけで得点の土台ができます。 2. 誘導の意図の言語化:東大物理は見慣れない設定を誘導に沿って解き進める試験です。「前の設問の結果をどこで使ったか」を一文で書き残すと、初見対応力が伸びます。 3. 部分点の回収ポイント:完答できなかった大問でも、立式・途中経過まで書けていれば得点は残ります。「あと1行書けていれば拾えた点」を数えることが、本番の答案戦略になります。
過去問と問題集の使い分け(東大物理の問題集)
過去問だけで演習量を賄おうとすると、分野の穴が残ります。問題集との役割分担が重要です。
- 入試標準レベルまで:『物理のエッセンス』『良問の風』で解法の型を習得。
- 難関大レベルの演習量:『名問の森』『重要問題集』で分野網羅。過去問で見つかった弱点分野は、ここに戻って補強します。
- 難問への耐性:『難問題の系統とその解き方』は、東大物理の後半設問レベルの思考型問題に触れたい人向け。ただし全問消化は不要で、力学・電磁気に絞る使い方が現実的です。
順番としては「問題集で型を作る→過去問で判断力を鍛える→穴を問題集で塞ぐ」の往復です。詳しい教材の進め方は東大物理の参考書ルートをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
東大物理の過去問で難しい年はいつですか?
近年では2023年度が「過去最難」と受験生の間で広く言われています。逆に2026年度は理科全体で得点しやすく、合格者の理科2科目平均は3年間で最高(76.0点)でした。難しい年の過去問は、捨て問判断を鍛える教材として活用するのがおすすめです。
東大物理の過去問は何年分解けばいいですか?
最低10年分が目安です。直近3〜5年分を「分析用」としてじっくり解き、残りを「実戦用」として理科2科目150分セットで時間を計って解く2段階方式をおすすめします。
東大物理は1問何点ですか?
小問ごとの配点は非公表です。物理は60点満点・大問3題の構成で、1大問あたり20点前後と推定されています。
東大物理の合格点は?
物理単体の合格点は公表されていません。当社の開示データ集計では、2026年度の合格者の理科2科目平均は76.0点/120点(1科目あたり約38点)で、2科目合計70〜80点が現実的な目標ラインです。
理科の過去問はいつから始めるべきですか?
本格的な実戦演習は高3秋からで問題ありませんが、力学・電磁気が既習になる高2後半に「分析用」として触れ始めるのが理想です。理科の得点が合否を分ける現在の東大入試では、早く始めるほど演習期間の面で有利になります。
データの出典と注記
開示得点データは、ウェブサイト上で公開されている2024〜2026年度の東大合格者530名の本人申告開示得点を、イエナアカデミーが独自に収集・集計したものです(開示未記載30名を除くn=500)。合格最低点は東京大学公表値。
東大理科の対策はイエナアカデミーへ
イエナアカデミーは、開示得点データの分析に基づいて「どの科目で何点積み上げるか」から設計する、オンライン対応の個別指導塾です。学校進度に合わせた物理の先取りと過去問演習の計画も、一人ひとりに合わせて個別に組めます。
