物理チャレンジは、物理オリンピック日本委員会(JPhO)が主催する全国規模の物理コンテストです。中学生から参加でき、自宅で取り組む「実験課題レポート」が大きな特徴で、翌年開催の国際物理オリンピック(IPhO)の日本代表選抜も兼ねています。この記事では参加資格・日程・試験内容・難易度・対策方法を、公式情報をもとに整理してお伝えします。
物理チャレンジとは
物理チャレンジ(正式名称:全国物理コンテスト)は、公益社団法人物理オリンピック日本委員会(JPhO)が主催する、高校生・中学生を主な対象とした全国規模の物理コンテストです。物理の面白さや奥深さを体験してもらうことを目的としており、単なる知識量を競う試験ではなく、じっくり考える力や、身の回りの現象を物理として捉える視点が問われます。
もう一つの重要な役割が、翌年に開催される国際物理オリンピック(IPhO)の日本代表選手候補者選考を兼ねている点です。物理チャレンジで上位の成績を収めた参加者は、その後の研修を経て、国際大会(IPhO・APhO)の日本代表を目指すルートにつながっています。
大会は大きく2段階で構成され、第1チャレンジ(実験課題レポート+理論問題コンテスト)で全体のふるいをかけたのち、成績上位者のみが合宿形式の第2チャレンジに進みます。特に第1チャレンジの実験課題レポートは、自宅や学校にある身近な道具を使って自分で実験を行い、結果をレポートにまとめて提出するという、他の科学系コンテストにはあまり見られない特徴的な出題形式です。
参加資格
参加資格は、大会開催年の4月1日時点で満20歳未満であり、かつ大学・短期大学・高等専門学校第4・5学年などの高等教育機関に在学していないことです。この条件を満たしていれば学年の下限は設けられておらず、中学生も参加できます。実際、中学生のうちから物理チャレンジに挑戦し、力試しの機会として活用している生徒もいます。外国籍の場合は、上記に加えて日本国内の学校に在籍していることが条件となります。
日程・申し込み方法【2026年度】
物理チャレンジは春に申し込みを行う点に注意が必要です。2026年度(物理チャレンジ2026)の申し込み期間は、個人申し込みが4月1日〜5月30日13:00、学校での一括申し込みは4月1日〜5月23日13:00と、個人よりも早めに締め切られます。学校経由での参加を考えている場合は、早めに担当の先生に相談しておくと安心です。
第1チャレンジの実験課題レポートは5月末が提出締切、理論問題コンテストは7月に全国一斉のオンライン試験として実施されます。第2チャレンジは8月に3泊4日の合宿形式で行われます。
日程や申し込み方法は年度によって変更される可能性があるため、最新情報は必ず公式サイト(JPhO公益社団法人物理オリンピック日本委員会 https://www.jpho.jp/ )でご確認ください。
試験内容
第1チャレンジ:実験課題レポート+理論問題コンテスト
第1チャレンジは「実験課題レポート」と「理論問題コンテスト」の2本立てです。実験課題レポートは、家庭や学校にある身の回りの器具を使って取り組める実験テーマが出され、参加者が一人で実験・考察を行い、オンラインでレポートを提出します。先生からの助言や実験の補助を受けること自体は問題ないとされていますが、レポートの作成は自分自身で行う必要があります。グラフや図を用いて結果をわかりやすく整理し、決められた構成に沿ってまとめる力が求められます。
理論問題コンテストは全国一斉のオンライン試験で、中学理科から高校物理の範囲を基本とした出題です。
第2チャレンジ:合宿形式の理論・実験試験
第1チャレンジの総合成績で選抜されたおよそ100名が、夏に3泊4日の合宿に参加し、理論問題・実験問題それぞれについて本格的な試験に取り組みます。出題は高校物理までの範囲が基本ですが、それを超える内容には解説やヒントが付き、最先端の物理研究やハイテク機器を題材にした長文の設問が出されることもあります。第2チャレンジでの成績上位者から、国際大会に向けた代表候補選手が選ばれます。
難易度とレベル感
難易度は第1チャレンジと第2チャレンジで大きく異なります。第1チャレンジの理論問題は、高校物理の内容を土台にしていますが、限られた時間の中で正確に解答をまとめる処理速度も問われます。実験課題レポートは知識よりも、観察・考察・表現の丁寧さが評価の軸になるため、「難問が解けないと参加できない」という試験ではありません。
一方、第2チャレンジは全国から集まった上位層との合宿形式のコンテストで、大学レベルの物理的な考え方が求められる場面もあり、対策として使われる「チャレンジガイド」なども大学範囲に踏み込んだ内容を含みます。誠実にお伝えすると、第2チャレンジまで進むには相応の準備と地力が必要ですが、第1チャレンジ自体は「まず挑戦してみる」という位置づけで参加しやすい大会です。
対策・勉強法・過去問
物理チャレンジの対策で軸になるのは、公式サイトで公開されている過去問です。JPhOの公式サイトには過去の物理チャレンジの問題が掲載されているほか、対策本として「物理チャレンジ独習ガイド」(丸善出版)も刊行されています。まずは高校物理の教科書レベルの理解を固めたうえで、過去問で出題傾向や時間配分の感覚をつかむのが基本の流れです。
実験課題レポートについては、テーマが発表されてから提出締切までの期間で、実験の計画・実施・データ整理・考察という一連の流れを自分の手でやり切る経験そのものが力になります。結果を予想と照らし合わせて誤差の原因を考える、グラフを使って定量的に示す、といった姿勢は、大学入試の記述問題や小論文にも通じる力です。高校物理の範囲を一通り理解したうえで、教科書に載っていない現象にも自分の頭で仮説を立てて考える「高校物理+α」の練習を積んでおくと、第1チャレンジ・第2チャレンジどちらにも対応しやすくなります。
大学入試での活かし方
物理チャレンジでの成績や国際物理オリンピック(IPhO)への出場実績は、理工系学部の総合型選抜・学校推薦型選抜において、探究活動の実績として評価の対象になるケースがあります。大学ごとに評価の基準や扱いは異なるため、志望校の募集要項で具体的な条件を確認することが前提にはなりますが、物理への関心と探究の姿勢を裏付ける材料として提出書類に記載できる点は、一つの大きなメリットです。あわせて、実験レポートや理論問題に取り組む過程そのものが、東大をはじめとする難関大学の物理入試で求められる「現象を自分の言葉で説明する力」の土台づくりにもつながります。
よくある質問
Q. 物理チャレンジは中学生でも参加できますか?
はい、参加できます。参加資格は学年ではなく年齢(大会開催年4月1日時点で満20歳未満)と、高等教育機関に在学していないことで定められているため、中学生の参加者もいます。
Q. 理科・物理が得意でないと参加できませんか?
そうとは限りません。特に第1チャレンジの実験課題レポートは、知識量よりも観察・考察の丁寧さが重視されます。まずは力試しとして挑戦してみる生徒も多い大会です。
Q. 申し込みはいつ行えばよいですか?
2026年度は個人申し込みが4月1日〜5月30日13:00、学校一括申し込みが4月1日〜5月23日13:00です。学校経由での参加を希望する場合は特に早めの準備をおすすめします。最新の日程は公式サイトで必ずご確認ください。
Q. 過去問はどこで手に入りますか?
JPhO公式サイトに過去の物理チャレンジの問題が公開されているほか、「物理チャレンジ独習ガイド」(丸善出版)も対策教材として活用できます。
まとめ
物理チャレンジは、中学生からでも挑戦できる全国規模の物理コンテストで、自宅で取り組む実験課題レポートという珍しい形式が特徴です。第1チャレンジは高校物理の理解を土台に、実験への向き合い方や考察力が問われ、成績上位者が進む第2チャレンジ・国際物理オリンピックへの道につながっています。申し込みは春(2026年度は4〜5月)に締め切られるため、興味を持ったら早めに公式サイトで最新の要項を確認しておくことをおすすめします。
科学オリンピック全般については科学オリンピック一覧【2026年度】全14大会まとめ、化学分野に関心がある方は化学グランプリ、生物分野に関心がある方は日本生物学オリンピックの記事もあわせてご覧ください。
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