2026年度 共通テスト数学ⅠA 全問解説|第1問〜第4問の解き方

2026年度大学入学共通テスト「数学Ⅰ・数学A」本試験の全問解説です。100点満点に対して平均点は47.20点(大学入試センター発表の最終集計値)と、平均が5割を切る厳しい試験になりました。

今年のⅠAは、第1問の図形(円と接線)の後半、第2問のデータの分析(箱ひげ図と分散の読み取り)、第3問の空間図形(方べきの定理とメネラウスの定理の組合せ)で差がついたと考えられます。計算自体は重くないのですが、「誘導の意図を読み取って、既に求めた結果を次の設問で使い回す」力が全体を通して問われており、誘導を見失った受験生から順に時間が足りなくなる構成でした。

※問題文は要約にとどめています。問題PDFは記事末尾のリンクからダウンロードできます。

なお、2026年度の数学ⅠAは第1問〜第4問の全問必答です(選択問題はありません)。配点は第1問30点・第2問30点・第3問20点・第4問20点の計100点です。


目次

第1問(配点30・必答)|集合と論理、図形と計量

〔1〕(1) 集合A、Bの決定と共通部分(ア〜エ・各2点)

問題の要約

全体集合Uを2以上20以下の自然数全体とし、2以上9以下の自然数a、bに対して、部分集合A、Bを「A=Uの要素kのうち、kとaが1以外の正の公約数をもつもの」「B=kとbが1以外の正の公約数をもつもの」と定めます。a=3のときのA、b=4のときのBと、A∩B、A∩(Bの補集合)を選択肢から選ぶ問題です。

解き方

a=3は素数なので、「kと3が1以外の公約数をもつ」とは「kが3の倍数」ということです。U内の3の倍数を書き出すと A={3, 6, 9, 12, 15, 18} となります。

b=4のとき、4と1以外の公約数をもつのは「2を約数にもつ数」、つまり偶数です。 B={2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20}

A∩Bは「3の倍数かつ偶数」なので6の倍数で {6, 12, 18}。 A∩(Bの補集合)は「3の倍数かつ奇数」なので {3, 9, 15} です。

答え

ア=⑥、イ=⑧、ウ=③、エ=②(各2点)

つまずきポイント

「1以外の公約数をもつ」を「aの倍数」と早合点しないこと。a=3のような素数なら倍数と一致しますが、b=4では「4の倍数」ではなく「偶数全体」になります。この違いが(2)の伏線です。

〔1〕(2) 条件からa、bを逆に決める(オ〜キ・計4点)

問題の要約

(i) Aの補集合の要素に2の倍数も3の倍数もないとき、aの値を求めます。(ii) A∩(Bの補集合)={5}のとき、a、bを求めます。

解き方

(i) 「Aの補集合に2の倍数も3の倍数もない」とは、Uに含まれる2の倍数と3の倍数がすべてAに入るということです。偶数全体がAに入るにはaが2の倍数であること、3や9などの3の倍数が入るにはaが3の倍数であることが必要です。よってaは6の倍数で、2以上9以下ではa=6だけです。逆にa=6なら2の倍数も3の倍数もすべてAに入るので条件を満たします。

(ii) 5がAに入るので、5とaは1以外の公約数をもちます。5は素数なのでaは5の倍数、つまりa=5です。このとき A={5, 10, 15, 20} です。A∩(Bの補集合)={5}となるには、10、15、20がBに入り、5がBに入らないことが必要です。

  • 10、15、20すべてと公約数をもつ
  • 5とは公約数をもたない(bは5の倍数でない)

この2つを満たすbを2〜9で探すと、b=6が見つかります(10とは2、15とは3、20とは2を公約数にもち、5とは互いに素)。

答え

オ=6(2点)、カ=5、キ=6(2点)

つまずきポイント

(ii)で「5∈Aだからa=5」とすぐ決められるかが第一関門。その後、bの条件を「10・15・20をカバーし、5を除外する」と言語化できれば、2と3の両方を因数にもつ6に自然にたどり着きます。候補を2から順に試しても大した手間ではないので、手が止まったら総当たりも有効です。

〔2〕(1) 四角形の面積公式を作る(ク〜サ・計7点)

問題の要約

内角がすべて180°未満の四角形ABCDを対角線BDで2つの三角形に分け、S1=△ABDの面積、S2=△BCDの面積とします。S1=(ク/2)sin A、S2=(ケ/2)sin C の形に表し、さらにA+C=B+Dのとき、A+C=コ を求め、S=S1+S2=(サ/2)sin A と表します(ク、ケ、サは辺の積の選択肢、コは角度の選択肢)。

解き方

三角形の面積公式「2辺とはさむ角のsin」を使います。△ABDで角Aをはさむ2辺はABとADなので S1=(AB×AD/2)sin A △BCDで角Cをはさむ2辺はBCとCDなので S2=(BC×CD/2)sin C です。

四角形の内角の和は360°なので、A+C=B+Dならば A+C=180°。 このとき C=180°−A だから sin C=sin A となり、 S=S1+S2=(AB×AD+BC×CD)/2 × sin A ……① とまとめられます。

答え

ク=①(AB・AD)(2点)、ケ=④(BC・CD)(2点)、コ=④(180°)、サ=②(AB・AD+BC・CD)(コ・サ合わせて3点)

つまずきポイント

「面積公式ではさむ角に対応する2辺を選ぶ」だけの問題ですが、選択肢が9個並ぶと焦って取り違えがちです。sin(180°−A)=sin A という変換は次の(2)でも使う本問の核なので、ここで確実に押さえておきましょう。

〔2〕(2)(i) 円に外接する三角形とsinの値(シ〜ハ・計9点)

問題の要約

半径6の円Oが線分PQ上の点Mで接しています。P、Qから円Oにもう1本ずつ接線を引き、接点をK、Lとし、直線PKとQLの交点をRとします。PK=12、QL=9で、RはPQに関して円Oの中心と同じ側にあります。∠KPM=P、∠LQM=Qとして、四角形PMOKの面積、sin P、sin Q、PR:QR、RLを順に求めます。

解き方

接線の長さの性質から PM=PK=12、QM=QL=9 です。

四角形PMOKは△PMOと△PKOに分けられます。OM、OKは半径6で接線に垂直なので、どちらも直角三角形です。 △PMO=(1/2)×12×6=36、△PKO=36 よって四角形PMOK=72。

次に(1)の公式①を使います。四角形PMOKでは∠M=∠K=90°なので、∠P+∠O=180°、つまり「向かい合う角の和が等しい」形になっており、①がそのまま適用できます。 72=(PM×PK+MO×OK)/2 × sin P=(144+36)/2 × sin P=90 sin P よって sin P=72/90=4/5。

四角形QLOMも同様に、面積=2×(1/2×9×6)=54 で、 54=(QM×QL+MO×OL)/2 × sin Q=(81+36)/2 × sin Q=(117/2)sin Q よって sin Q=108/117=12/13。

△PQRで正弦定理を使うと、PR:QR=sin Q:sin P=12/13:4/5=60:52=15:13。

最後にRL。Rからの接線の長さは等しいので RK=RL=t とおくと PR=PK+KR=12+t、QR=QL+LR=9+t PR:QR=15:13 より 13(12+t)=15(9+t) 156+13t=135+15t → t=21/2。

答え

シス=72(3点・シ,ス,セ,ソで1セット)、sin P=セ/ソ=4/5、sin Q=タチ/ツテ=12/13(2点)、PR:QR=トナ:ニヌ=15:13(2点)、RL=ネノ/ハ=21/2(2点)

つまずきポイント

①の公式を「凧形PMOKに適用する」という誘導に気づけるかがすべてです。∠M=∠K=90°だから∠P+∠O=180°、と①の適用条件を自分で確認する一手間が必要です。また、PR:QRを正弦定理で辺の比に変換するとき、「角Pの対辺はQR」なので比が入れ替わる(PR:QR=sin Q:sin P)ことに注意してください。ここの取り違えが最も多いミスです。

〔2〕(2)(ii) 交点Rが反対側にある場合(ヒ〜ヘ・4点)

問題の要約

今度はPK=4√2、QL=3√2で、交点RはPQに関して中心Oと反対側にあります。このときRL=ヒフ√ヘ を求めます。

解き方

接線の長さから PM=4√2、QM=3√2、PQ=7√2 です。

Rが反対側にあるので、(i)のように「PR=PK+KR」とはなりません。座標で処理するのが確実です。Mを原点、PQをx軸、O(0, 6)として P(−4√2, 0)、Q(3√2, 0) とおきます。

Pを通る接線(x軸以外)を y=m(x+4√2) とおき、中心O(0, 6)との距離が半径6に等しい条件を立てると (4√2 m−6)²=36(m²+1) 左辺を展開して整理すると −4m²−48√2 m=0、つまり −4m(m+12√2)=0 となります。m=0はx軸(PQ)なので、もう1本の接線の傾きは m=−12√2 です。直線PKは y=−12√2 x−96。

同様にQを通る接線は (−3√2 m−6)²=36(m²+1) を整理して m=0 または m=2√2 となり、直線QLは y=2√2 x−12。

2直線を連立すると −12√2 x−96=2√2 x−12 → −14√2 x=84 → x=−3√2 y=2√2×(−3√2)−12=−24 よって R(−3√2, −24)。確かにy<0で、Oと反対側です。

RLはRから円Oへの接線の長さなので、三平方の定理から RL²=RO²−6²=(18+900)−36=882 RL=√882=21√2。

答え

RL=ヒフ√ヘ=21√2(4点)

つまずきポイント

(i)と同じ流れ(sinを求めて比で処理)でも解けますが、Rが反対側に来ると角の関係(180°−θ)の処理が紛らわしくなります。共通テストでは「接線の長さ=√(中心までの距離の2乗−半径の2乗)」という方べき的な処理を覚えておくと、座標を置くだけで機械的に片付きます。試験場では(ii)を後回しにして他の大問に時間を回す判断も正解でした。


第2問(配点30・必答)|2次関数、データの分析

〔1〕(1) 定義域つきの最大・最小(ア〜オ・計4点)

問題の要約

2次関数 y=2x²−8x+5 の 0≦x≦3 における最大値・最小値と、それを与えるxを求めます。

解き方

平方完成すると y=2(x²−4x)+5=2(x−2)²−3 軸は x=2 で下に凸です。定義域 0≦x≦3 に軸が含まれるので、最小値は頂点で x=2 のとき −3。 最大値は軸から遠い端点で、x=0 のとき y=5(x=3ではy=2×1−3=−1で5より小さい)。

答え

x=ア=0 で最大値 イ=5(2点)、x=ウ=2 で最小値 エオ=−3(2点)

つまずきポイント

基本問題ですが「軸が定義域内か」「どちらの端点が軸から遠いか」の確認を省かないこと。ここは絶対に落とせない4点です。

〔1〕(2)(i) 最大・最小の条件から関数を決める(カ〜コ・計4点)

問題の要約

2次関数 y=f(x) が「−3≦x≦0 において、x=−1で最大値3、x=−3で最小値−5をとる」(条件1)を満たすとき、頂点の座標(選択肢)と f(x)=キク x²−ケ x+コ の係数を求めます。

解き方

最大値を定義域の内部の点 x=−1 でとっているので、グラフは上に凸で、頂点がx=−1にあります。頂点は(−1, 3)です。

f(x)=a(x+1)²+3 (a<0)とおくと、最小値は軸から遠い端 x=−3 で f(−3)=4a+3=−5 → a=−2 f(x)=−2(x+1)²+3=−2x²−4x+1

答え

カ=③((−1, 3))(2点)、f(x)=−2x²−4x+1 なので キク=−2、ケ=4、コ=1(2点)

つまずきポイント

「内部の点で最大→上に凸で頂点」という論理を逆にたどるのがポイント。係数の答え方が「キク x²−ケ x+コ」と符号込みの形式なので、−4xを「−ケx」に当てはめてケ=4とする(ケ=−4としない)よう、マークの形式をよく見てください。

〔1〕(2)(ii) 最大・最小の挙動から関数を決める(サ・シ・4点)

問題の要約

正の定数aに対し、0≦x≦a における y=g(x) の最大値をM、最小値をmとするとき、条件2「0<a<3ならm>−2、a≧3ならm=−2、0<a≦6ならM=7、a>6ならM>7」を満たす g(x) を選びます(サ:凸の向き、シ:式の選択肢)。

解き方

aを増やしながら定義域を右へ広げるイメージで読み取ります。

  • mはaが3になるまでは−2より大きく、3以降はずっと−2 → x=3で最小値−2をとる。つまり頂点が(3, −2)で下に凸。
  • 下に凸なら最大値は端点 x=0 か x=a。0<a≦6 でM=7が一定なのは、x=0 での値 g(0)=7 が最大であり続けるから(軸x=3から見て、a≦6の間は x=a より x=0 の方が遠い)。a>6 になると g(a)>g(0) となりM>7。

g(x)=c(x−3)²−2 とおくと g(0)=9c−2=7 → c=1。 g(x)=(x−3)²−2=x²−6x+7

答え

サ=⓪(下に凸)、シ=⑥(x²−6x+7)(合わせて4点)

つまずきポイント

条件を式でなく「グラフを右へ広げる動画」として読むこと。「a≧3でm=−2に固定」→頂点のy座標が−2、「a≦6でM=7に固定」→g(0)=7、と2つの固定値から頂点と1点が決まります。選択肢の検算(⑥にx=0を代入して7、x=3で−2)まですれば確実です。

〔1〕(3) 一意に決まらない関数の共有点(ス・セ・3点)

問題の要約

bを定数とし、b−1≦x≦b+1 における y=h(x) の最大値をMとするとき、条件3「1≦b≦7ならM≧0、b<1または7<bならM<0」を満たします。h(x)は一つに決まりませんが、グラフとx軸の共有点のx座標(ス、セ・順不同)は決まることを示す問題です。

解き方

もしh(x)が下に凸なら、bを非常に大きく(または小さく)すると端点の値はいくらでも大きくなり、M<0になり得ません。これはb<1、7<bでM<0という条件に反するので、h(x)は上に凸です。

上に凸のとき、h(x)≧0となるのは2つの共有点α、β(α<β)の間の区間[α, β]だけです。幅2の窓[b−1, b+1]内での最大値Mが0以上になるのは、窓が区間[α, β]と少しでも重なるとき、すなわち α−1≦b≦β+1 のときです。これが 1≦b≦7 と一致するので α−1=1、β+1=7 → α=2、β=6

答え

共有点のx座標は ス、セ=2、6(順不同・3点)

つまずきポイント

今年の第2問で最も差がついた設問です。「窓[b−1, b+1]が[α, β]に触れる⇔M≧0」という言い換えができるかが勝負でした。「b=1のとき窓の右端b+1=2がちょうどαに触れる」「b=7のとき左端b−1=6がβに触れる」と端の状況を図に描けば、α=2、β=6が見えます。

〔2〕(1) 散布図と平均の読み取り(ソ・3点)

問題の要約

東京オリンピック男子1500m自由形予選28人のタイム(秒)について、前半750mのタイムをT前、後半をT後、その平均をT前後とします。図1(T前とT後の散布図)、図2(T前とT前後の散布図)に関する記述(a)(b)の正誤を判定します。 (a) T前が470秒未満の選手について、T後が460秒以上の人数とT前後が460秒以上の人数は等しい。 (b) 点Aの選手について、T前の値はT前後の値より小さく、かつT後の値はT前後の値より大きい。

解き方

(b)から考えるのが速いです。T前後は「T前とT後の平均」なので、T前<T後 でありさえすれば、平均は必ず両者の間に入ります(T前<T前後<T後)。図1で点Aは(約452, 約476)と対角線 T後=T前 より上にあり、T前<T後です。よって(b)は正しい。

(a)は「T後が460以上」と「平均が460以上」が別条件であることに注意します。平均が460以上とはT前+T後≧920のことです。たとえば図1でT前が443前後、T後が467前後の選手は、T後は460以上ですが平均は約455で460未満です。実際に図1と図2で数えると人数は一致せず、(a)は誤りです。

答え

ソ=②((a)誤・(b)正)(3点)

つまずきポイント

「平均は2つの値の間に入る」という当たり前の性質を使えば(b)は計算不要です。(a)は散布図の点をまじめに数え始める前に、「T後が大きくてもT前が小さければ平均は460に届かない」と反例の存在に気づけると時間を節約できます。

〔2〕(2) 相関係数の計算(タ・3点)

問題の要約

T前とT前後について、平均値(450、453)、標準偏差(8.3、9.3)、共分散72.9が与えられ、相関係数に最も近い値を選びます。

解き方

相関係数=共分散÷(標準偏差の積)なので r=72.9/(8.3×9.3)=72.9/77.19≒0.944… 選択肢では0.94が最も近い値です。

答え

タ=⑥(0.94)(3点)

つまずきポイント

公式そのものは基本ですが、8.3×9.3=77.19の計算を丁寧に。「分子72.9が分母77.19より少し小さい→0.9台半ば」と概算すれば、0.83や1.06を選ぶミスは防げます。相関係数が1を超える選択肢(1.06、1.38、4.14)は計算ミスの検出用ダミーです。

〔2〕(3) 外れ値・箱ひげ図・分散(チ〜ナ・計9点)

問題の要約

50mごとの30個のラップタイムを選手ごとに分析します。 (i) 1位の選手について、外れ値の判定値「(第1四分位数)−1.5×(四分位範囲)=29.315」「(第3四分位数)+1.5×(四分位範囲)=29.835」から四分位範囲を求めます。 (ii) 28人の箱ひげ図(図3・分散の小さい順)に関する記述(a)(b)の正誤を判定します。 (a) 29秒より速いタイムはすべて外れ値である。 (b) 分散の大きい選手の四分位範囲が、分散の小さい選手の四分位範囲より小さいことがある。 (iii) 決勝進出グループ(1〜8位)のうち分散が小さい方から14番目までに入る人数nを図3から読み取り、割合P(決勝進出グループ内)とQ(予選敗退グループ内)の大小を比較します。

解き方

(i) 2つの判定値の差をとると (Q3+1.5×IQR)−(Q1−1.5×IQR)=(Q3−Q1)+3×IQR=4×IQR なので 4×IQR=29.835−29.315=0.52 → IQR=0.13

(ii) (a):図3を見ると、下位(分散が大きい側)の選手には、ひげ(外れ値でない範囲)が29秒より左まで伸びている箱ひげ図があります(26位・21位など、白丸なしで左へ長く伸びるひげ)。ひげの範囲内のタイムは外れ値ではないので、「29秒より速い⇒外れ値」は成り立たず、(a)は誤り。 (b):図3は上から分散の小さい順ですが、箱の幅(四分位範囲)は順不同です。たとえば上の方(分散小)にある24位の箱より、下の方(分散大)にある11位の箱の方が狭い、という組合せが実際にあります。よって(b)は正しい。

(iii) 図3の上から14人(分散が小さい方から14番目まで)の順位を読むと 1、6、14、12、4、3、2、20、9、19、15、24、8、5位 このうち決勝進出グループ(1〜8位)は 1、6、4、3、2、8、5位 の7人なので n=7。 P=7/8、Q=(14−n)/20=7/20 なので P>Q です。

答え

四分位範囲=0.チツ=0.13秒(3点)、テ=②((a)誤・(b)正)(3点)、ト=7、ナ=②(P>Q)(3点)

つまずきポイント

(i)は「差をとれば4×IQR」に気づくと一瞬です。気づかなくても、2式を連立してQ1、Q3を消去すれば同じ結論になります。(iii)は図3から14人分の順位ラベルを正確に拾う根気の問題。「決勝進出=1〜8位」の7人を数え漏らすと、Pだけでなく14−n経由でQも連鎖的にずれるので、数え直しの時間も見込んでおきましょう。速い選手ほどペースが安定している(分散が小さい)傾向がある、という結論まで含めて味わいたい良問です。


第3問(配点20・必答)|図形の性質(空間図形・円と方べき)

(1) 内心の性質と方べきの定理(ア〜カ・計8点)

問題の要約

AB=AC=10、BC=12の二等辺三角形ABCの内心をI、△IBCの重心をGとし、Gを通り平面ABCに垂直な直線上にPをとって三角錐PABCを考えます。直線AIと辺BCの交点をD、辺PA上の点Eは∠PED=∠PIDを満たします。 「直線BIが(ア)であることに注意」してAIとIDを求め、4点E、I、D、(エ)が同一円周上にあることから AE・AP=オカ を求めます。

解き方

Iは内心なので、直線BIは∠ABCの二等分線です(ア=②)。

二等辺三角形なので直線AIはBCの垂直二等分線でもあり、DはBCの中点、BD=6です。三平方の定理から AD=√(10²−6²)=√64=8

△ABDにおいて、BIは∠ABD(=∠ABC)の二等分線で、Iは辺AD上にあります。角の二等分線の性質から AI:ID=BA:BD=10:6=5:3 AD=8なので AI=5、ID=3。

次に、∠PED=∠PIDは「EとIが線分PDを同じ側から見込む角が等しい」ことを意味するので、円周角の定理の逆により4点E、I、D、Pは同一円周上にあります(エ=④)。

点Aからこの円を見ると、直線AEP(EとPを通る)と直線AID(IとDを通る)の2本が円と交わっているので、方べきの定理より AE・AP=AI・AD=5×8=40

答え

ア=②(2点)、AI=イ=5、ID=ウ=3(3点)、エ=④(P)、AE・AP=オカ=40(3点)

つまずきポイント

今年の第3問の入口であり最大の関門です。「∠PED=∠PID→共円」の読み替え(円周角の定理の逆)と、「Aから引いた2本の割線→方べき」の連携に気づかないと、この後の(2)がすべて止まります。「等しい角を見たら共円を疑う」は共通テスト図形の定石として覚えておきましょう。

(2)(i) 仮定1のもとでの体積V1(キ〜シ・計8点)

問題の要約

線分PIとDEの交点をFとします。仮定1「IF:FP=3:2」のもとで、PE:EA、AP、三角錐PABCの体積V1を求めます。

解き方

△APIと直線DEF(D、F、Eは一直線上)にメネラウスの定理を使います。 (AE/EP)×(PF/FI)×(ID/DA)=1 PF/FI=2/3、ID/DA=3/8 を代入して (AE/EP)×(2/3)×(3/8)=1 → AE/EP=4 よって PE:EA=1:4。

AE=(4/5)AP と (1)の AE・AP=40 から (4/5)AP²=40 → AP²=50 → AP=5√2(ケ√コ)

体積は高さPGが必要です。Dを原点、AD方向を軸にとると、I(ID=3)よりGは△IBCの重心なので、DからGまでの距離は G=(B+C+I)/3 → BとCの中点がDなので、DG=ID/3=1 よって AG=AD−DG=8−1=7。

PGは平面ABCに垂直なので△PGAは直角三角形で PG²=AP²−AG²=50−49=1 → PG=1

△ABCの面積=(1/2)×12×8=48 なので V1=(1/3)×48×1=16

答え

PE:EA=キ:ク=1:4(3点)、AP=ケ√コ=5√2(3点)、V1=サシ=16(2点)

つまずきポイント

メネラウスの定理をどの三角形に当てるか(△APIを直線DEが切る)を自分で設定する必要があります。頂点→分点→頂点→分点…と一筆書きの順に辺の比を書けば符号ミスを防げます。また、Gが「△ABCではなく△IBCの重心」である点に注意。重心の性質からDG=ID×(1/3)=1と即座に出せます。

(2)(ii) 仮定2との比較(ス〜ソ・4点)

問題の要約

仮定1の代わりに仮定2「IF:FP=1:3」とした場合の体積V2を、(i)のV1と比較し、V2:V1と大小関係(ソ)を答えます。

解き方

(i)と同じ流れです。メネラウスの定理から (AE/EP)×(PF/FI)×(ID/DA)=(AE/EP)×3×(3/8)=1 → AE/EP=8/9 よって AE=(8/17)AP。AE・AP=40 に代入して (8/17)AP²=40 → AP²=85 PG²=AP²−AG²=85−49=36 → PG=6 V2=(1/3)×48×6=96

したがって V2:V1=96:16=6:1 で、V2はV1より大きいことがわかります。

答え

V2:V1=ス:セ=6:1、ソ=②(V2はV1より大きい)(3つ合わせて4点)

つまずきポイント

(i)の手順を自力で再現できるかの確認問題です。FがPI上で「Pに近い(仮定1)かIに近い(仮定2)か」で、Eの位置、AP、高さPGが連動して変わる構造を掴んでいれば、計算は5分かかりません。AE・AP=40という(1)の結果が最後まで効いている、誘導一本道の大問でした。


第4問(配点20・必答)|場合の数と確率(リーグ戦と優勝確率)

(1) 3人リーグ戦でAが優勝する確率(ア〜クケ・計8点)

問題の要約

1対1で対戦するリーグ戦(引き分けなし)。Aが勝つ確率は各対戦で2/3、A以外どうしの対戦は互いに1/2です。勝ち数最多が1人ならその人が優勝、複数ならその中から等確率の抽選で優勝者を決めます。A、B、Cの3人で行うとき、 (i) Aが2勝0敗で優勝する確率 (ii) Aが1勝1敗で優勝する確率(表2の対戦結果になる確率ウ/エ、それにAが抽選で選ばれる確率オ/カを掛け、Aが勝つ相手が2通りあることからキ/クケ) を求めます。

解き方

(i) Aが2連勝すればよいので (2/3)×(2/3)=4/9

(ii) Aが1勝1敗で優勝するには、BもCも1勝1敗(3人が全員1勝1敗)である必要があります。たとえば「AがBに勝ち、Cに負ける」場合、BがCに勝てば全員1勝1敗です。この対戦結果になる確率は (AがBに勝つ)2/3 × (AがCに負ける)1/3 × (BがCに勝つ)1/2=1/9 3人が並ぶので抽選でAが選ばれる確率は 1/3。 Aが勝つ相手はBかCの2通りあり、どちらも同じ確率なので Aが1勝1敗で優勝する確率=2×(1/9)×(1/3)=2/27

以上から、3人リーグでAが優勝する確率は 4/9+2/27=12/27+2/27=14/27 です(この値は(2)の最後で使います)。

答え

ア/イ=4/9(3点)、ウ/エ=1/9、オ/カ=1/3(3点)、キ/クケ=2/27(2点)

つまずきポイント

「Aが1勝1敗で優勝→全員1勝1敗が必要」という言い換えがポイント。誰か1人が2勝すればその人の単独優勝になるからです。3すくみ(A→B→C→A)の巴戦は2パターンしかなく、確率は対戦ごとの積で出せます。

(2) 4人リーグ戦でAが優勝する確率(コ〜ヌ・計12点)

問題の要約

A、B、C、Dの4人リーグ戦。Aが3勝0敗なら優勝、1勝2敗なら優勝できません。Aが2勝1敗で優勝する確率を、「全敗する人がいる場合」(i)と「いない場合」(ii)に分けて求め、最後に3人リーグと4人リーグの優勝確率を比較します。 (i) Dが全敗する確率(コ/サ)を求め、全敗者がB、C、Dの3通りあることからシ/スセを求めます。 (ii) 「AがBに負けてCとDに勝ち、優勝できる対戦結果」がソ通りあることを使い、タ/チを求めます。 最後に、Aが優勝する確率ツ/テを求め、3人リーグのときとの差(ト/ナニ)と大小(ヌ)を答えます。

解き方

(i) Dが全敗する確率は、Aに負け(2/3)、Bに負け(1/2)、Cに負け(1/2)なので (2/3)×(1/2)×(1/2)=1/6 Dが全敗のとき、Aが2勝1敗で優勝するには、AがB、Cとの対戦で1勝1敗、かつA、B、Cの3人が「(1)(ii)と同じ巴戦」になることが必要です(このとき3人とも2勝1敗で並び、抽選は1/3)。 Dの3試合とA、B、C間の3試合は独立なので (1/6)×(2/9)×(1/3)=1/81 (2/9は(1)(ii)の巴戦2パターン分、1/3は抽選) 全敗者がB、C、Dのどの場合も同じ値になり(Aとの対戦で負ける確率2/3が共通)、これらは同時に起こらないので シ/スセ=3×(1/81)=1/27

(ii) AがBに負け、C、Dに勝つとします(Aは2勝1敗)。残るはB、C、D間の3試合(2³=8通り)。このうち「全敗者がいない」かつ「Aが優勝できる(勝ち数3の人がいない)」ものを数えます。

  • Bがあと2勝すると3勝0敗でB優勝→除外
  • C(またはD)が3敗すると全敗者がいる→除外

と絞ると、条件を満たす対戦結果はちょうど4通りで(ソ=4)、どの場合も勝ち数2で並ぶのはAと他の1人だけです(抽選1/2)。 Aの3試合の確率は (1/3)×(2/3)×(2/3)=4/27、B、C、D間の各結果は (1/2)³=1/8 なので、1つの対戦結果あたり (4/27)×(1/8)×(1/2)=1/108 4通りで 4/108=1/27。Aが負ける相手はB、C、Dの3通りあり対称なので タ/チ=3×(1/27)=1/9

まとめると、Aが2勝1敗で優勝する確率は 1/27+1/9=1/27+3/27=4/27 Aが3勝0敗する確率は (2/3)³=8/27 なので、4人リーグでAが優勝する確率は ツ/テ=8/27+4/27=12/27=4/9

3人リーグの優勝確率は(1)より14/27。4/9=12/27なので、その差は 14/27−12/27=2/27 つまり4人リーグの方が 2/27 だけ小さい(ヌ=⓪)。

答え

コ/サ=1/6(2点)、シ/スセ=1/27(3点)、ソ=4(2点)、タ/チ=1/9(3点)、ツ/テ=4/9、差=ト/ナニ=2/27、ヌ=⓪(小さい)(2点)

つまずきポイント

(ii)の「4通り」の数え上げが山場です。8通りの総当たり表を書き、「Bが2連勝→除外」「Cが全敗→除外」「Dが全敗→除外」と機械的に消すのが確実で速い方法です。また、(i)(ii)を通じて「対戦結果の確率」×「抽選でAが選ばれる確率」の2段構えになっている点を見失わないこと。抽選の1/3や1/2の掛け忘れが最も多い失点パターンです。最後の比較は「人数が増えると優勝確率が下がる」という直感に合う結果で、検算の目安になります。


まとめ|2026年度ⅠAで問われた力と来年度への対策

平均47.20点という数字が示すとおり、2026年度の数学ⅠAは「知識はあるのに点にならない」タイプの試験でした。全問を通して見えた特徴は次の3つです。

1. 前の設問の結果を使い回す「誘導接続力」

第1問〔2〕の面積公式①、第3問のAE・AP=40のように、序盤で作った道具を後半で繰り返し使う構成が徹底されていました。設問単位の解法暗記ではなく、「いま何を求めさせられていて、それはどこで使うのか」を意識しながら解く練習が必要です。

2. 条件を図やグラフの「動き」として読む力

第2問の条件2・条件3(定義域を動かしたときの最大・最小の挙動)や、箱ひげ図28本の読み取りなど、式変形よりも「状況を図式化して観察する」場面が多く出題されました。日頃からグラフを描いて定性的に考える習慣が得点に直結します。

3. 定理を組み合わせて使う総合力

第3問は「内心→角の二等分線→円周角の定理の逆→方べき→メネラウス→三平方」と、図形の定理を6つ連ねる構成でした。1つでも抜けると止まるため、定理を単体でなく「セットで使う」経験値が問われます。

来年度に向けては、(1)教科書の定理・公式を「いつ使うか」まで言語化して覚える、(2)共通テスト形式の誘導付き長文問題で「誘導の意図を汲む」練習を積む、(3)データの分析は定義(四分位範囲・外れ値・相関係数)を計算までセットで確認する、の3点をおすすめします。過去問演習の際は、時間を計って「捨てる設問を決める判断」まで含めて練習してください。

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