AIの英検ライティング添削はここまで来た|準1級受験生・6日間15回の記録

高3Rさんの英検準1級ライティング添削15本の4観点スコア推移グラフ

英検のライティングは、「書く → 採点してもらう → 直す」のサイクルを何回まわせたかでほぼ決まります。ところが、この採点と修正例づくりに一番時間がかかります。

私たちは2026年8月から、LINEで受け取った答案をAIが添削し、講師が内容を確認して返す運用を試しています。この記事では、英検準1級を目指す高校3年生Rさんの6日間・15回分の実データをもとに、AI添削で実際に何が起きたのかを公開します。よかった点だけでなく、AIが誤った指摘をした事例も含めて書きます。

※ 掲載についてはご本人の許可をいただいています。氏名はイニシャル、学校名・受験予定日は伏せています。答案の写真はご本人の同意のうえで2枚のみ掲載しました。

目次

そもそも、ライティングは「回数」で決まる

英検のライティングは、内容・構成・語彙・文法の4観点で採点されます(日本英語検定協会「ライティングテスト(英作文)の採点に関する観点および注意点」)。また準1級の問題冊子には、意見論述は120〜150語、要約は60〜70語という語数の目安が示されています。

なお、この記事で使う「16点満点」は、4観点を各4点として当校が独自に換算したものです。公式に各観点の配点が公表されているわけではありません。語数を外した場合の扱いについても、公式の明示はありません。

この4観点は、独学でいちばん伸ばしにくい部分です。理由は単純で、自分では自分の答案を採点できないからです。

  • 語数が範囲内かは自分で数えられる
  • スペルミスも辞書で確認できる
  • しかし「この理由は主張を支えているか」「この構成は採点者に伝わるか」は、他人の目がないと分からない

だからライティングは、添削を受けた回数がそのまま実力になります。しかし人の手で1本を丁寧に添削すると、どうしても30分〜1時間かかります。週1回が限界です。

AIが変えたのは、この頻度です。

6日間で14回:実際に起きたこと

対象は英検準1級を目指す高校3年生のRさん。2026年8月24日〜29日の記録です。

日付種別語数内容構成語彙文法合計
8/24意見論述131語332210/16
8/24要約62語332210/16
8/24要約(書き直し)68語433212/16
8/25要約67語23229/16
8/25意見論述121語332210/16
8/26要約(書き直し)61語332210/16
8/26意見論述(書き直し)127語342211/16
8/26意見論述128語343212/16
8/26要約62語332210/16
8/27意見論述(書き直し)118語333312/16
8/27意見論述141語242210/16
8/27意見論述(書き直し)134語443314/16
8/27要約(書き直し)62語432211/16
8/29意見論述122語343313/16
8/29要約62語332210/16
英検準1級ライティング 4観点スコアの推移。意見論述は10点から14点へ、要約は10〜12点で横ばい

新しい課題が9本、書き直しが6本。6日間で15回の添削です。人の手だけでは、この頻度は現実的ではありません。

意見論述の推移は 10 → 10 → 11 → 12 → 12 → 10 → 14 → 13、要約は 10 → 12 → 9 → 10 → 10 → 11 → 10

一直線には上がっていません。そして要約は、最後まで10〜12点の範囲から抜け出せませんでした。 この差がどこから来たのかも含めて、次章で中身を見ていきます。

点数の裏で起きていた3つの変化

変化1:最初の壁は「語彙・文法」だった

開始時、4観点のうち内容と構成は3点台なのに、語彙と文法が2点で止まっていました

型(主張→理由2つ→結論)はすでに書ける。しかし三単現のs、冠詞、スペル、前置詞といった細かい形で失点し続ける——これは準1級を目指す段階で非常によくあるパターンです。

AI添削が効いたのは、同じ指摘が何回目かを追跡できる点でした。

  • 「`lead to` の後ろは名詞のかたまり」→ 指摘した2日後に再発 → 「これは2回目です」と明示
  • 「`the number of`(〜の数)と `a number of`(多数の)は別物」→ 1つの答案に3か所 → 「1つ覚えれば3つ直ります」

人間の講師でも、前回何を指摘したかを毎回さかのぼるのは大変です。履歴が残っていて、しかも毎回それを参照して書けるというのは、AIが得意とするところです。

変化2:「内容」が動いた瞬間

8月27日、意見論述の内容点が初めて2点に下がりました。原因は語彙でも文法でもありません。論点(POINT)の選び方でした。

準1級の意見論述では、4つのPOINTSが与えられ、そこから2つを選んで論じます。このとき、自分の立場を支えやすいPOINTを選べるかで内容点が変わります。

たとえば「公共交通を無料にすべきか」というテーマで「無料にすべきでない」の立場を取ったとき、Pollution(環境)を選ぶと苦しくなります。公共交通の利用者が増えれば、ふつうは車が減って環境は良くなる方向に働くからです。この立場ならGovernment spending(財政負担)やMobility(混雑)のほうが、無理なく主張を支えられます。

この視点を伝えたところ、同じ日の夕方に提出された書き直しでは、論点がまるごと差し替えられていました。結果は14/16。内容点が2から4へ、一気に満点になっています。

指摘してから反映まで数時間。これが週1回の添削だと、次に活かせるのは7日後です。

意見論述の4観点内訳。初回10点から自己ベスト14点へ、内容と構成が3から4に上がった

内訳を見ると、伸びた4点の内訳がはっきりします。内容と構成がそれぞれ+1。語彙と文法も+1ずつですが、点数を動かした主因は論点の選び方でした。

変化3:いちばん大きかったのは「自分で直せるようになった」こと

実は、この6日間で最も価値があったのは点数ではありません。

初期は、書き直すたびに新しいミスが入るという課題がありました。`farmers` を `famers` と書き間違える、`problems` が `probrems` になる、1文削ったせいで語数が下限を割る——直した箇所が新たな失点源になっていたのです。

それが8月27日、変化が起きました。答案を提出した3分後と10分後に、本人から訂正のメッセージが届いたのです。

しかも2つ目の訂正は、「理由の論点を差し替えたのだから、結論に残っている元の論点も直さないと本文と食い違う」という、文章全体を見渡さないと気づけない種類のものでした。

さらに8月29日の答案では、提出から数時間後に7か所を自力で修正した版が送られてきました。その中には、主語がずれたうえに動詞の形も崩れていた文を、主語ごと変えて受け身で組み直したものも含まれています。表面的な直しではありません。

添削の目的は点数をつけることではなく、自分で直せるようにすることです。 AIが毎回同じ観点で指摘し続けたことが、この習慣づけに効いたと考えています。

変化しなかったもの:要約は最後まで伸びなかった

正直に書きます。意見論述が10点から14点まで伸びた一方で、要約は6日間ずっと10〜12点のままでした。

原因ははっきりしています。意見論述で身についた「型」が、要約では使えないからです。

意見論述は、譲歩から入り、立場を述べ、理由を2つ挙げ、結論で締める——この骨格を覚えれば、内容が多少弱くても構成点は取れます。実際、Rさんの構成点は途中から4点で安定しました。

しかし要約に型はありません。原文をどれだけ正確に写し取れるかがすべてです。そして最後の答案でも、原文にない理由を足してしまう、中身のない一文(There are some benefits.)で1文使ってしまう、という失点が残りました。どちらも「原文の該当箇所を見ずに、記憶で書いている」ことが原因です。

AI添削は、型のある課題では速く効きます。しかし「原文を正確に読む」という土台の部分は、指摘を重ねただけでは埋まりませんでした。 ここは分けて考える必要があります。

実際の答案:6日間でこう変わりました

Rさんの許可をいただいたので、実際の答案を2枚だけ載せます。1枚目が初日(8/24)、2枚目が6日後(8/29)です。どちらも意見論述で、写真を撮ってLINEに送っていただいたものです。

初日の答案(10/16)

初回提出の答案。三単現のsの欠落やスペルミスが複数見られる手書きの英作文

型(Although の譲歩 → 理由2つ → 結論)はこの時点ですでにあります。失点していたのは細部でした。`the Japanese government protect`(三単現のsがない)、`ofective`(effective)、`county`(country)、`As explain above`(explained)。文末の `less not environmentally friendly` は否定が重なって意味が反転しています。

6日後の答案(13/16)

6日後の答案。スペルミスがなくなり、受け身を使って組み直した文が入っている手書きの英作文

スペルミスがゼロになりました。 そして注目してほしいのは3行目です。

In order to create traditional textbooks a lot of money is required for printing them

この文は、初稿では `It has to spending a lot of costs`(主語がずれ、動詞の形も崩れている)でした。それをRさんは私たちが指摘する前に、自分で「お金が必要とされる」という受け身に組み直しています。単語を差し替えたのではなく、文の設計から作り直した修正です。

もちろん、この答案にもまだ課題は残っています(`students can buy textbooks a cheaper price` は `at a cheaper price`、`various subject just one device` は `on just one device`)。名詞と名詞の間の前置詞——ここが次のテーマです。

AI添削にできること・できないこと

ここからは、実際に運用してみて分かったことを正直に書きます。

できること

  • 速い:多くは数時間以内に返せます。1日に「提出 → 添削 → 書き直し → 再添削」まで回った日もありました
  • 毎回ぶれない基準:4観点それぞれ4点満点で採点し、語数が指定範囲内かを必ず確認します
  • 前回の指摘を追える:「これは2回目の指摘です」「前回の課題はクリアできています」と、履歴に基づいて書けます
  • 質問に答えられる:一方通行ではありません。実際に「この指摘の意味が分かりません」という質問が来て、やり取りが成立しました
  • 記録が残る:本人専用ページに全履歴とスコア推移が残り、本番前に見返せます

できないこと・注意点

1. AIも間違えます。実際に間違えました。

8月25日の要約添削で、私たちは「原文の因果を逆に読んでいます」と指摘しました。しかし本人から「どこが違うのか分かりません」と質問が来て、確認したところ、本人の読み取りは正しく、指摘のほうが不正確でした。

正確には「読み取りは合っているが、書かれた英文が意図と違う意味に読まれてしまう」というのが問題の中身でした。英語の `other subjects` は「直前に出たもの以外」を指すため、書き手の意図と逆の対象を指してしまっていたのです。

この件は翌日、訂正して説明し直し、記録も修正しました。生徒が質問してくれなければ、誤った指摘のまま残っていたことになります。

2. スコアは英検の公式採点ではありません。

私たちが出す4観点スコアは、公式が公表している4つの観点に沿って当校が評価した目安です。各観点の配点は公式に公表されていないため、16点満点という換算も当校独自のものです。本番の点数を保証するものではありません。

3. 人の確認を挟んでいます。

この運用では、AIが添削を作成し、講師が内容を確認してから送信しています。上の「間違えた」事例からも分かるとおり、AIに任せきりにはできません。

Rさんからいただいた感想

添削の最終回をお送りしたあと、Rさんからメッセージが届きました。掲載の許可をいただいたので、そのまま紹介します。

6日間の量とは思えないくらいたくさん提出してしまって、お手数おかけしました。大変お世話になりました。

イエナアカデミー様の細かく丁寧な添削サービスのおかげで、自分なりの書き方や見直しの仕方、どこに注意すべきか、自分にどのような癖があるのかなど沢山のことを学べました。

今まで英語はニュアンスで出来てしまっていた分、文法の学習に励んだことがなく今更壁に当たっていたので、ここで新しい知識を得て、それを気にしながら次を書くというルーティンを確立できたのは私にとってすごく良かったなと思っております。

今後もイエナアカデミー様に教わったことを意識して試験日まで走り続けたいと思います。合格したら報告させていただきます。

この中に、私たちが伝えたかったことがそのまま書かれていました。

「新しい知識を得て、それを気にしながら次を書くというルーティン」——AI添削の価値は、点数を出すことでも、修正例を示すことでもありません。このルーティンが回り始めるかどうかがすべてです。

そして「英語はニュアンスで出来てしまっていた」という一文は、準1級で伸び悩む人の状態をよく表しています。読めるし書ける。でも文法の細部を言葉で説明したことがない。この段階の人にとって、毎回同じ観点で指摘が返ってくる環境は効きます。1回では気づけないことも、3回目に同じ指摘を受ければ「これは自分の癖だ」と分かるからです。

今日からできる、ライティングの3つのチェック

この6日間で効果が確認できた3点です。添削を受けていなくても実行できます。

1. 書き終えたら語数を数える。 特に「1文削った後」は必ず数え直してください。今回、1文削ったせいで指定範囲の下限を割ったケースが実際にありました 2. 書き始める前に30秒、POINTを選ぶ。 「自分の立場を支えやすいのはどれか」を考えてから書き出す。内容点はここで決まります 3. 直した箇所こそ、もう一度読む。 修正のときに新しいミスが入るのは、誰にでも起こります

まとめ

  • AI添削の価値は「採点の速さ」ではなく、サイクルを何度も回せることにあります
  • 今回の記録では、指摘した内容が数時間後の答案に反映され、6日間で意見論述が最大14/16まで伸びました
  • ただしAIは誤ることがあります。生徒からの質問と、人の確認が組み合わさって初めて機能します

まずは1本、書いたものを送ってみてください

イエナアカデミーでは、英検ライティングの無料添削を試験運用しています。LINEで友だち追加して、答案の写真を送っていただくだけです。

この記事で紹介したものと同じ形式で、4観点のスコア・指摘・書き直し例をお返しします。要約・意見論述のどちらでも、級も問いません。書き直したものを再提出していただければ、何が直って何が残っているかもお伝えします。

なお、この記事のとおりAIが誤った指摘をすることもあります。おかしいと思ったら遠慮なく質問してください。Rさんの質問が私たちの間違いを見つけてくれたように、そのやり取りこそが添削の質を上げます。

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