「英語の映画は字幕なしで分かるけれど、本はどこまで読めているのだろう」 「多読を続けると、最終的にどんな英語が読めるようになるの?」
受講相談で、保護者の方からよくいただく質問です。
この記事では、イエナアカデミーの多読プログラムで実際に使っているワークシートと講師のコメントを見ながら、多読で英語の読み方がどう変わっていくのかを4つの段階に分けて紹介します。生徒さんの答案は、間違いも含めてそのまま載せています(お名前・学校名は伏せています)。
- 段階1(幼児〜小学校中学年):レベル別の絵本で「英語のまま分かる」を育てる
- 段階2(小5ごろ〜):週1冊の本を読み、質問に英語で答える習慣をつくる
- 段階3(中1):答えの「正確さ」を磨く。英検2級に挑戦する時期
- 段階4(中3):アメリカ文学の短編を読み、象徴や主題まで読み解く
段階1:レベル別の絵本で「英語のまま分かる」を育てる
最初の段階では、Oxford Reading Tree(ORT)などのレベル別の絵本や、電子書籍サービスのepic!を使い、レベルに合った本をたくさん読みます。(ジュニア英語多読コース)
この段階の目標は、日本語に訳さずに、英語のまま話を追えるようになることです。
ただし当校では、ORTはレベル6以上は使っていません。上のレベルになると、話そのものの面白さが物足りなくなり、読む意欲が続きにくいためです。
幼いころから英語に触れていて、英語の映画を英語音声で理解できるお子さんであれば、この段階はすでに卒業しているケースが多いです。その場合は、次の段階に進みます。
段階2:週1冊読んで、質問に英語で答える
小学5年生くらいになり、パソコンで英文を打てるようになったら、Penguin Readersを使った多読プログラムをおすすめしています。(中高一貫校生対象 英語多読プログラム)
やることはシンプルです。
1. 週に1冊、本を読む 2. 章ごとの質問(During-reading questions)に、英語で答えを入力する 3. 講師が答えを確認し、コメントを返す
内容は単純ですが、週1冊を続けることで読む習慣ができます。 私たちの指導経験では、続けられたお子さんほど英語力の伸びが大きい傾向があります。 実際に、小5で英検準1級を取得して中学受験に進み、いま中1で英検1級の準備をしている生徒さんもいます。
では、答えはどのように変わっていくのでしょうか。次の段階で、中1の生徒さん2人のワークシートを見てみます。
段階3:中1――答えの「正確さ」を磨く
例1:『Anne of Green Gables(赤毛のアン)』を読んだ中1の生徒さん
難関中高一貫校の中学1年生で、この秋に英検2級を受験する予定の生徒さんのワークシートです。
Q. Why does Mrs. Rachel Lynde sit at her window?(レイチェル・リンド夫人は、なぜ窓辺に座っているのか)
生徒の答え: Because she watched everything and everyone in Avonlea.
講師のコメント: なぜ座っているのか? 座っている目的・効果を回答するのが適切です。
Q. Where is Green Gables?(グリーン・ゲイブルズはどこにあるか)
生徒の答え: near the woods.
講師のコメント: near the woods in Avonlea. どの森かわかる回答のほうが親切です。
Q. What does Matthew want Marilla to do at home?(マシューはマリラに、家で何をしてほしいのか)
生徒の答え: She does sleeping tonight in his house.
講師のコメント(解答例): He wants Marilla to tell the little girl about the mistake.
一方で、「Who is waiting at the Bright River train station?(ブライト・リバー駅で待っているのは誰か)」に A little girl.、「Anne cannot stay at Green Gables. Why?(アンはなぜグリーン・ゲイブルズにいられないのか)」に Because she was not a boy. と、正しく答えられている問いも多くあります。
この段階の課題は、話のあらすじは追えているけれど、質問が何を聞いているのかに正確に答えきれていないことです。「なぜ?」と聞かれたら目的や理由を答える。「どこ?」と聞かれたら相手に場所が伝わるように答える。講師は、こうした答え方のずれを1問ずつ指摘します。
例2:『Climate Rebels』を読んだ中1の生徒さん
もう1人は、同じく難関中高一貫校の中学1年生の女子生徒さんで、この秋に英検2級を受験する予定です。読んでいるのは、環境問題に取り組む人々を紹介するノンフィクションです。
Q. Why are children different from older people?(子どもは大人とどう違うのか)
生徒の答え: Because older people do not change quickly and easily, and children can talk to their parents and grandparents. ✅
Q. How do Jia Wenqi and Jia Haixia help to clean the air? Why is it difficult for them?(2人はどうやって空気をきれいにしているのか。それはなぜ難しいのか)
生徒の答え: They decided to plant lots of trees. It’s difficult for them because they are disabled. ✅
答えは主語と動詞のそろった完全な文になり、「理由を聞かれたら because で答える」形も身についています。講師のコメントも、内容から冠詞の使い方に移っています。
講師のコメント: climate のみの場合は定冠詞をつけてください。climate change でしたら定冠詞なしで ok です。
講師のコメント: “A” special can
例1と例2を並べると、成長の順番が見えてきます。
| 例1(Anne of Green Gables) | 例2(Climate Rebels) | |
|---|---|---|
| 答えの形 | 語句だけの答えが混ざる | 完全な文で答える |
| 講師の指摘 | 質問の意図とのずれ | 冠詞などの細かな文法 |
| 次の課題 | 聞かれたことに正確に答える | 細部の正確さを上げる |
段階4:中3――アメリカ文学の短編を読み解く
中学3年生になると、教材は学習者向けの読みものから、英米の作家が書いた本物の短編小説に変わります。
たとえば、ジョン・チーヴァーの短編『The Enormous Radio』(1948年)です。郊外に住む中流の夫婦が新しく買ったラジオが、なぜか近所の家庭の会話を流し始める――という話です。
ワークシートでは、あらすじの確認ではなく、作品が何を伝えているかを日本語で説明する設問に取り組みます。
(A) ラジオが近隣の声を流し始めるという設定は、何を象徴的に暴き出すか。
生徒の答え: 外からは上品で幸せに見える人々の家庭にも、実際には夫婦間の争いや病気、金銭問題、不倫などの裏の面があることを象徴的に暴き出している。
(B) 妻 Irene はラジオが流す他人の生活をどう受け止めるか。その態度の変化を述べよ。
生徒の答え: 最初の方は他人の生活を聞いて好奇心を抱くが、次第に他人の生活の苦しさを聞くことがつらくなり耐えられなくなっていく。
(C) 結末で夫婦自身について明かされることは何か。「自分たちは例外だ」という思い込みがどう崩れるかを説明せよ。
生徒の答え: 夫婦自身も、金銭問題や嘘をついていたことなどが明らかになり、自分たちは違うという思い込みが崩れる。
(D) 本作の主題に最も近いものを選べ。
生徒の答え: b) Respectable appearances often hide private unhappiness, including one’s own. ✅
中1では「質問に正確に答える」ことが課題でしたが、中3では設定が何を象徴しているか、登場人物の気持ちがどう変わるか、作品の主題は何かまで読み取れるようになっています。
なぜ中3でアメリカ文学なのか
作品の選び方には、大学入試を意識した理由があります。
2026年度の東京大学の英語の第5問では、短編の名手エイミー・ヘンペルの “When It’s Human Instead of When It’s Dog” が出題されました(出典:2026年度 東京大学 入試問題・英語)。私たちは、ヘミングウェイの系譜を引く、説明しすぎずに出来事で語らせるタイプの作品だと考えています。
こうした小説は、書かれていない気持ちや意味を、出来事や細部から読み取らなければなりません。中3で読むアメリカ文学の短編は、この読み方に慣れるために選んでいます。中3の段階で、東大の第5問のような文学的な英文を読み解く土台をつくることを目指しています(得点や合格を保証するものではありません)。
まとめ:多読で伸びるのは「量」と「読み方」
4つの段階を振り返ると、多読で伸びるのは、読む量だけではありません。
| 段階 | 時期の目安 | 教材 | 身につくこと |
|---|---|---|---|
| 1 | 幼児〜小学校中学年 | ORT・epic! | 英語のまま話を追う |
| 2 | 小5ごろ〜 | Penguin Readers | 週1冊の習慣、英語で答える力 |
| 3 | 中1 | Penguin Readers | 質問に正確に答える力、文法の正確さ |
| 4 | 中3 | 英米文学の短編 | 象徴・心情の変化・主題を読み解く力 |
週に1冊読んで、質問に答え、講師のコメントを受け取る。この繰り返しで、「英語を正確に訳す」読み方から、「英語のまま理解し、作品の意味まで読み取る」読み方へと変わっていきます。
時期はあくまで目安です。お子さんの今の英語力によって、どの段階から始めるかは変わります。
受講料と始め方
- 多読プログラム(Penguin Readers):月謝 8,800円(税込)。本代は別途かかりますが、レンタルも行っています。
- プライベートレッスン:1回 6,600円〜(講師により異なります)。帰国子女入試などを担当している講師が対応します。
※オンラインの少人数グループレッスンは、現在休止しています(お子さんごとにレベルを合わせることが難しいため)。
「うちの子はどの段階から始めればいい?」というご相談も受け付けています。今読んでいる本や、英検の級を教えていただければ、合う教材をご提案します。
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