この記事で分かること(3行サマリ)
- 「賢さとは何か」に正しく答えている答案が、それでも16点満点中6点にとどまりました。原因は英語力ではなく、後半2文の論点ずれ・具体例ゼロ・文法6か所です。
- 文法は1か所につき−2点で採点するため、6か所で文法は0点になります。英語が書ける人ほど、ここで失点します。
- 同じ生徒が指摘を反映して書き直したところ、6点→11点に伸びました。何を直せば点になるのかを、実際の答案で示します。
東大英語の第2問(A)は自由英作文です。ここで多くの受験生が誤解しているのは、「英語が書ければ点が来る」ということ。実際には、設問に正面から答えているかと、ケアレスミスをどれだけ潰せているかで点が大きく動きます。
この記事では、イエナアカデミーの東大英作文添削に実際に提出された答案(Lさん)を、採点結果と指摘の全文つきで公開します。前回の記事(ChatGPTは10点、Geminiは11点、私たちは4点。)で扱ったのは「設問の中心概念をすり替えて内容0点になった答案」でしたが、今回はその逆で、定義そのものは合っている答案です。それでも6点でした。
課題と答案
課題は東大英語・第2問(A)の予想問題です。
2 (A) 以下の問いに、60〜80語の英語で答えよ。
What does it mean to be wise?(賢いとはどういうことか)
これに対するLさんの答案がこちらです(原文ママ・66語)。
Wisdom refers to the ability to go well with society. It include not only intelligence but also communication skill, problem solving skill, judgement skill and so on. Since a lot of latest technology such as AI began to deprive us from jobs, to be wise comprehensively is an vital capital. It is also crucial aspect to catch up with changeable, unstable world, without loosing your identity.
「賢さとは社会とうまくやっていく能力である。知能だけでなく、コミュニケーション力・問題解決力・判断力なども含む。AIのような最新技術が人から仕事を奪い始めた今、総合的に賢いことは重要な資産だ。変化の激しい不安定な世界に、自分らしさを失わずについていくためにも不可欠な要素である」——という内容です。
採点結果:6点/16点
イエナアカデミーの採点は駿台方式(16点満点)を採用しています。
| 観点 | 配点 | Lさんの得点 |
|---|---|---|
| ① 内容(設問適合) | 6点 | 3点 |
| ② 構成・論理 | 3点 | 2点 |
| ③ 文法 | 5点 | 0点 |
| ④ 語彙・表現 | 2点 | 1点 |
| 合計 | 16点 | 6点 |
英語そのものは決して悪くありません。それでも6点になった理由は3つあります。
理由1:前半は正解。しかし後半2文が設問から逸れている
設問は「賢いとはどういうことか(何を意味するか)」です。
- 前半2文:「知能だけでなく、コミュニケーション力・問題解決力・判断力を含む総合力」——これは wise の中心にある good judgment(的確な判断) を正しく捉えており、設問に正面から答えています。ここは高く評価できます。
- 後半2文:「AI時代だから重要だ」「変化する世界についていくために不可欠だ」——これは「賢さがなぜ重要か」の話であり、「賢さとは何か」の説明ではありません。
つまり、答案の半分が設問の中心から半歩ずれています。前回の記事で扱った「概念のすり替え(内容0点)」ほど致命的ではありませんが、内容点は6点満点中3点にとどまりました。
後半も「意味の説明」に使えていれば、内容点は一気に上がります。
理由2:具体例がひとつもない
答案全体が抽象論で、「賢い人が具体的にどう振る舞うか」の場面がひとつも描かれていません。
採点者から見ると、抽象的な言葉を並べただけの答案は「本当に分かって書いているのか」が判定できません。具体例を1文入れるだけで内容点は動きます。語数が足りないからと主張を言い換えて水増しするより、その語数を具体例に回すほうが確実です。
また `and so on`(〜など)は、列挙を増やしたように見せる表現として減点対象になりやすい語です。本番では避けるのが安全です。
理由3:文法ミス6か所で、文法は0点
ここが最大の失点源です。イエナアカデミーの基準では、文法ミスは1か所につき−2点で計算します。5点満点なので、3か所で0点に到達します。
Lさんの答案には文法ミスが6か所ありました。ひとつひとつは「知らなかった」ではなく「見直せば気づいた」レベルのものばかりです。
英語が書ける受験生ほど、内容で稼いだ点をここで失います。書き終わったあとの1分で「三単現・冠詞・前置詞・スペル」だけを見直す——これだけで文法点は回復します。
指摘した9項目(before → after)
| # | 原文 | 修正 | 何の誤りか |
|---|---|---|---|
| 1 | It include | It includes | 三単現のs |
| 2 | an vital capital | a vital asset | 冠詞(vitalは子音始まり)+「重要な資産」はasset |
| 3 | deprive us from jobs | deprive us of jobs | deprive A of B |
| 4 | It is also crucial aspect | It is also a crucial aspect | 冠詞 |
| 5 | catch up with changeable, unstable world | catch up with this changeable, unstable world | 冠詞 |
| 6 | without loosing | without losing | スペル(loose「ゆるい」との混同) |
| 7 | go well with society | get along well in society | go well with は「(服などが)〜に合う」 |
| 8 | communication skill, problem solving skill | communication skills, problem-solving skills | 複数形・ハイフン |
| 9 | a lot of latest technology | a lot of the latest technology | 最上級には冠詞 |
1〜6が文法(各−2点で0点)、7〜9が語彙・表現(まとめて−1点)です。
書き直し例(68語)
同じ主張を、設問に正面から答える形に組み直すとこうなります。
To be wise means to have the good judgment to handle real-life situations, not just knowledge. A wise person understands other people, sees problems from several angles, and chooses the best action at the right moment. For example, when AI threatens jobs, a wise worker does not panic but calmly learns new skills. In a changing world, wisdom means using what you know to live well with others.
元の答案と比べると、変えたのは次の3点だけです。
- 冒頭で「賢さ=知識ではなく的確な判断」と設問に正面から答える
- 中盤で「賢い人はどう振る舞うか」を具体的な場面(AIが仕事を脅かす状況)で描く
- 最後まで「なぜ重要か」ではなく「何を意味するか」で通す
その後:書き直しで11点まで伸びた
Lさんはこの添削を受けて、自分で答案を書き直して再提出しました。結果は11点/16点。指摘した9項目はすべて解消されていました。
To be wise means not only having knowledge but also being skillful in various ways, such as communication, problem-solving, and judgement. Therefor, wise people are able to adapt to a rapidly changing society. Specifically, wise people won’t panic even if AI, which provides vast amounts of knowledge, starts to deprive people of jobs, but will find the way to utilize their other skills.
| 観点 | 1回目 | 書き直し |
|---|---|---|
| ① 内容(設問適合) | 3/6 | 5/6 |
| ② 構成・論理 | 2/3 | 3/3 |
| ③ 文法 | 0/5 | 2/5 |
| ④ 語彙・表現 | 1/2 | 1/2 |
| 合計 | 6/16 | 11/16 |
特筆すべきは、`deprive us from jobs` を `deprive people of jobs` と正確に直したうえで、`and so on` をやめてその語数を具体例に回した判断です。後半も「賢い人はどう振る舞うか」で最後まで通っており、構成は満点になりました。
残った失点は `Therefor`(Therefore のeの脱落)と `find the way`(→ a way)の2か所だけ。書き終わりの1分の見直しが習慣になれば、14点台が見えてきます。
この事例から言えること
- 英語力があっても、設問からずれれば点は来ない。 「何を意味するか」を聞かれたら、最後まで意味の説明で通す。
- 具体例1文が内容点を動かす。 水増しの言い換えに語数を使わない。
- 文法は1か所−2点。 3か所で0点になる。最後の1分で三単現・冠詞・前置詞・スペルだけを見直す。
- 一度で伸びる。 Lさんは指摘を反映しただけで6点→11点。減点の理由が具体的に分かれば、直すのは難しくありません。
東大英作文の全体像は東大英作文の完全ガイドに、今回のような「定義型(What does it mean to be 〜?)」の書き方は定義型の書き方に、頻出の減点ポイントは東大英作文でよくある減点ポイントにまとめています。
あなたの答案も、この基準で添削します(無料)
この記事と同じ基準・同じ形式の添削を、無料で受けられます。手書きの答案を写真で送るだけです。返却時には答案の書き起こし・観点別の点数・指摘一覧・書き直し例までお付けします。
※採点基準について:東京大学は英作文の採点基準を公開していません。本記事の点数はすべて、受講生が受験した駿台の東大実戦・河合塾の東大オープンの答案採点実績と、合格者の得点開示との照合を積み重ねてイエナアカデミーが独自に設計した基準(駿台方式16点満点=内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。東京大学および各予備校の関係者は本コース・本記事に一切関与していません。
※採点はイエナアカデミーの専門家が設定した採点基準の上でAIが行っており、その正確性は保証しておりません。厳密な判断については信頼のおける方にお尋ねください。なお、AIは語数のカウントが苦手なため、語数による減点は行っていません。
※答案の掲載について:生徒の答案は本人の同意のもと、匿名化して掲載しています。
