- 69語の答案に、文法の誤りが1つもありませんでした。主語と動詞の一致も、冠詞も、動名詞の意味上の主語まで正確です。
- 構成も満点。定義 → 前提 → 具体例 → 帰結 → 結論が、一本の線で最後までつながっています。
- 採点は 13点/16点。当校の東大英作文添削で、これまでにお返しした答案の最高点です。本番でそのまま出して戦える答案だと考えています。
この記事では、「うまく書けている答案は、具体的に何ができているのか」を1文ずつ分解します。減点の話は最後に、残り3点をどう取りに行くかという形でまとめました。
課題と答案
What does it mean to be wise?(60〜80語)
I think that being wise means having the ability to question conventional ideas. In a society overflowing with information, many people tend to accept the information without any thought. For example, advertisements and messages on social media often shape our opinions without our realizing it. This may lead us to be manipulated by someone. Therefore, I think people who question accepted information and form their own opinions are wise.
(69語・規定の60〜80語内。手書き答案の書き起こしです)
採点:13点/16点
| 観点 | 配点 | Hさんの答案 |
|---|---|---|
| ① 内容(設問適合) | 6点 | 4点 |
| ② 構成・論理 | 3点 | 3点 |
| ③ 文法 | 5点 | 5点 |
| ④ 語彙・表現 | 2点 | 1点 |
| 合計 | 16点 | 13点 |
良い点1:設問に、1文目で正面から答えている
I think that being wise means having the ability to question conventional ideas.
定義型の設問で最初にやるべきことは、「Xとは〜である」と言い切ることです。この答案は1文目でそれを済ませています。
書けない受験生ほど、ここで前置きを置きます。「現代社会にはさまざまな考え方がある」「賢さの定義は人によって異なる」——こうした一般論に10語使うと、残りは50語。定義も例も入りません。60〜80語という語数制限の中では、前置きを書かない判断そのものが得点です。
さらに `being wise means having the ability to 〜` という形は、抽象名詞をそのまま定義に変換できる型で、他の課題(being fair / being creative / being independent)にもそのまま転用できます。
良い点2:構成が満点(3点/3点)
答案は5文。役割がはっきり分かれています。
| 文 | 役割 | 実際の英文 |
|---|---|---|
| 1 | 定義 | being wise means having the ability to question conventional ideas |
| 2 | 前提(なぜそれが要るのか) | many people tend to accept the information without any thought |
| 3 | 具体例 | advertisements and messages on social media often shape our opinions … |
| 4 | 帰結 | This may lead us to be manipulated |
| 5 | 結論 | people who question … and form their own opinions are wise |
中盤の3文が、定義の正当化になっている点が効いています。「疑う力が賢さである」という主張に対して、「疑わないと操られる」という筋道を通しているので、読み手は定義を受け入れたまま最後まで進めます。
接続の置き方も的確です。In a society overflowing with information,(状況の設定)→ For example,(例示)→ Therefore,(帰結)。この3つだけで、読み手は迷いません。構成点は「型に当てはめたか」ではなく「読み手が迷わないか」で見ます。
良い点3:文法が満点(5点/5点)
「ミスがなかった」で終わらせず、何ができていたのかを具体的に挙げます。受験生が実際に落としやすい箇所ばかりです。
| 書けていたこと | 該当箇所 | よくある間違い |
|---|---|---|
| 主語と動詞の一致(複数主語) | advertisements and messages … often shape | shapes にしてしまう |
| 関係詞節の中の一致 | people who question … and form … are wise | questions / is にしてしまう |
| 動名詞の意味上の主語 | without our realizing it | without realizing it(誰が、が消える) |
| 不定詞の受動 | may lead us to be manipulated | to manipulate にしてしまう |
| 分詞による後置修飾 | a society overflowing with information | which is overflowing と冗長になる |
| 綴り | conventional / advertisements / manipulated | 長い語ほど落としやすい |
60〜80語を書き切って無傷、というのは簡単なことではありません。この土台がある受験生は、あとは内容の詰め方だけで点が伸びます——実際、次章の助言はどれも「英語の力」ではなく「何を書くか」の話です。
良い点4:具体例がある
For example, advertisements and messages on social media often shape our opinions without our realizing it.
抽象論だけで終わる答案は、定義型でいちばん多い失点の形です。この答案は例を置いていて、しかも「情報を無批判に受け取る」という主張を読み手が絵にできる形にしています。ここはそのまま真似できる書き方です。
残り3点は、どこにあるか
ここまでが13点の中身です。満点まではあと3点——内容で2点、語彙で1点。どちらも英語の問題ではなく、書く中身の問題です。
内容(4点/6点):定義を、最初から強い形で出す
- 冒頭の定義:being wise means having the ability to question conventional ideas(疑う力)
- 結論の定義:people who question accepted information and form their own opinions are wise(疑い、かつ自分の意見を形成する)
結論のほうが定義として強いのです。「疑う」だけなら何も信じない人がいちばん賢いことになりますが、「疑ったうえで自分の意見を作る」なら判断が入ります。書いている本人は最後にそこへ到達している——あとは、それを1文目に持ってくるだけです。
例:Being wise means not only questioning what we are told but also deciding for ourselves which ideas are worth accepting.
もう1つ。第1文は conventional ideas(慣習的な考え)で始まりますが、第2文以降は information(情報)の話になります。近い語ほど無意識に滑ります。定義型では、最初に置いた語を最後まで使い切ると、採点者が前に戻らずに済みます。
そして例です。今の例が描いているのは「知らないうちに意見を形成されてしまう人」=賢くない側。定義しているのは賢さなので、例も「賢い人が何をするか」まで進めると、定義そのものを支える例になります。
- 今の例:広告やSNSが、気づかないうちに私たちの意見を作ってしまう
- 定義を支える例:広告を見て買いたくなったとき、その根拠を自分で調べ直す人がいる
語彙・表現(1点/2点):2か所だけ
| # | 答案 | 提案 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | accept the information without any thought | accept it without question | 直前の information を受けるだけなら it で足ります。the を付けて繰り返すと「ある特定の情報」を指すように読め、文が重くなります。without question は「無批判に」の定番表現 |
| 2 | be manipulated by someone | be manipulated by advertisers and influencers | someone は「誰か一人」の響きでぼやけます。誰に操られるのかを具体にすると主張が強くなります |
どちらも文法の誤りではありません。だから③文法は5点のままで、④語彙から1点だけ引いています。観点別採点の良いところは、こうして「どの種類のずれで落ちたのか」が分離できる点です。
満点に近づけると、こうなる(78語)
I think that being wise means questioning what we are told and then deciding for ourselves which ideas are worth accepting. In a society overflowing with information, many people believe advertisements and social media posts without a second thought. For example, when an advertisement makes us want a product, few of us check the evidence behind its claims. A wise person pauses there, asks what evidence supports those claims, and forms an opinion that is truly their own.
元の答案から変えたのは3か所だけです。
| 箇所 | 元の答案 | 書き直し |
|---|---|---|
| 定義 | 疑う力(結論でだけ「自分の意見を形成する」が登場) | 最初から「疑う → 自分で判断する」の2段で定義 |
| 具体例 | 広告やSNSに意見を形成されてしまう(賢くない側) | 広告を見たときに根拠を確かめない/賢い人はそこで立ち止まる(両側) |
| 結論 | 冒頭の言い換え | 賢い人の具体的な動作(pauses / asks / forms)で締める |
語数は69→78語。増えた9語は、定義の後半と「賢い人が何をするか」に使っています。文の型も語彙も、元の答案のものをそのまま使っています。
この事例の持ち帰り
- 前置きを書かない。 1文目で「Xとは〜である」と言い切る。60〜80語では、それだけで例を入れる余裕が生まれる。
- 中盤は定義の正当化に使う。 「なぜそれが賢さなのか」を通しておくと、構成点は満点になる。
- 文法の土台は、後から効いてくる。 無傷の英文が書けるなら、伸びしろは全部「何を書くか」に集約できる。
- 答案の中でいちばん強い定義を、冒頭に置く。 最後の1文に本当の定義が書かれている答案は珍しくない。それは「結論で気づいた」証拠なので、次はそれを最初に持ってくればよい。
東大英作文の全体像は東大英作文の完全ガイドに、定義型(What does it mean to be 〜?)の書き方は定義型の書き方に、頻出の減点は東大英作文でよくある減点ポイントにまとめています。同じ課題の別の事例は定義は合っていた。それでも6点/16点。、具体例の効果については同じ64語で、具体例が入った。をご覧ください。
あなたの答案も、この基準で添削します(無料)
この記事と同じ基準・同じ形式の添削を、無料で受けられます。手書きの答案を写真で送るだけです。返却時には答案の書き起こし・観点別の点数・指摘一覧・書き直し例までお付けします。
※採点基準について:東京大学は英作文の採点基準を公開していません。本記事の点数はすべて、受講生が受験した駿台の東大実戦・河合塾の東大オープンの答案採点実績と、合格者の得点開示との照合を積み重ねてイエナアカデミーが独自に設計した基準(駿台方式16点満点=内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。「合格答案」という表現も同じ基準に基づく当校の評価であり、合否を保証するものではありません。東京大学および各予備校の関係者は本コース・本記事に一切関与していません。
※採点はイエナアカデミーの専門家が設定した採点基準の上でAIが行っており、その正確性は保証しておりません。厳密な判断については信頼のおける方にお尋ねください。なお、AIは語数のカウントが苦手なため、語数による減点は行っていません。
※答案の掲載について:答案はすべて匿名化して掲載しており、氏名・学校名・学年・連絡先など個人が特定できる情報は一切掲載していません。ご本人から掲載を希望されない旨のお申し出があった場合は、速やかに取り下げます。
