駿台全国模試の大学別合格目標ラインは、毎年の入試動向を反映して見直されます。では、2026年度入試用から2027年度入試用にかけて、どの大学の偏差値が動いたのか——。
この記事では、第1回駿台全国模試の合格目標ライン(A判定=合格可能性80%以上)を年度間で突き合わせ、上がった大学・下がった大学を全件リストアップしました。結論から言うと、前期日程は下がり、後期・中期日程は上がるという、はっきりした非対称が見られます。
比較の前提
年度をまたいだ比較で意味を持たせるため、同じ「第1回」同士を突き合わせています。
| 2026年度入試用 | 2027年度入試用 | |
|---|---|---|
| 模試 | 第1回駿台全国模試 | 第1回駿台全国模試 |
| 実施日 | 2025年6月1日 | 2026年5月31日 |
| 掲載 | 国公立・学部系統別 | 国公立・学部系統別 |
- 数値はいずれも合格目標ライン(A判定=合格可能性80%以上)
- 日程は 前=前期/後=後期/中=中期
- 両年度に共通して掲載された166項目を比較対象としました
※駿台の公表資料は各学部系統の上位のみを掲載しているため、全国すべての大学・学科を網羅したものではありません。また掲載対象の入れ替わりが4項目あり、それらは比較から除外しています。
【結論】前期は下がり、後期・中期は上がった
166項目の増減を日程別に集計すると、傾向は一目瞭然です。
| 日程 | 上がった | 変化なし | 下がった | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 前期 | 1 | 49 | 34 | 84 |
| 後期 | 19 | 51 | 6 | 76 |
| 中期 | 2 | 4 | 0 | 6 |
| 合計 | 22 | 104 | 40 | 166 |
前期日程は84項目中34項目が下降し、上昇はわずか1項目。逆に後期日程は76項目中19項目が上昇し、下降は6項目にとどまりました。中期日程も2項目が上昇し、下降はゼロです。
つまりこの1年で、前期のラインは全体的に緩み、後期・中期のラインは引き締まったことになります。後期・中期は募集人数が少なく、前期で不合格だった上位層が流れ込むため、もともと難度が高く出やすい日程です。その傾向がさらに強まった形です。
偏差値が上がった大学・学科(全22項目)
上昇幅が大きい順に並べました。22項目のうち21項目が後期・中期日程です。
| 系統 | 大学・学部・学科 | 日程 | 2026年度用 | 2027年度用 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人文科学 | 京都府大 文-歴史 | 後 | 62 | 64 | +2 |
| 工学 | 大阪公立大 工-情報工 | 中 | 61 | 63 | +2 |
| 法学 | 北大 法-法 | 後 | 59 | 61 | +2 |
| 理学 | 東北大 理-物理系 | 後 | 64 | 65 | +1 |
| 工学 | 大阪公立大 工-航空宇宙工 | 中 | 63 | 64 | +1 |
| 理学 | 東北大 理-数学系 | 後 | 63 | 64 | +1 |
| 理学 | 東北大 理-化学系 | 後 | 63 | 64 | +1 |
| 理学 | 北大 理-数学 | 後 | 63 | 64 | +1 |
| 工学 | 北大 工-機械知能工 | 後 | 62 | 63 | +1 |
| 工学 | 神戸大 工-建築 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 工学 | 神戸大 工-機械 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 工学 | 北大 工-環境社会工 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 理学 | 北大 理-生物/高分子機能 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 理学 | 北大 理-地球惑星科学 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 理学 | 東北大 理-地球科学系 | 後 | 60 | 61 | +1 |
| 理学 | 大阪公立大 理-数学 | 後 | 60 | 61 | +1 |
| 人文科学 | 九大 文-人文 | 後 | 59 | 60 | +1 |
| 理学 | 大阪公立大 理-物理 | 後 | 59 | 60 | +1 |
| 教員養成・教育 | 北大 教育-教育 | 後 | 57 | 58 | +1 |
| 総合科学 | 千葉大 文-人文/行動科学 | 後 | 56 | 57 | +1 |
| 薬学 | 徳島大 薬-薬 | 後 | 56 | 57 | +1 |
| 法学 | 北大 法-法 | 前 | 55 | 56 | +1 |
最大の上げ幅は+2で、京都府大 文-歴史(後期62→64)、大阪公立大 工-情報工(中期61→63)、北大 法-法(後期59→61)の3項目。
目立つのは理学系と工学系の後期です。北大・東北大の理学部後期はほぼ全項目が1ポイント上昇し、東北大 理-物理系(後期)は64→65と、理学系全体のトップに立ちました。データサイエンス・情報系人気の余波が、理系後期の難化として表れていると読めます。
偏差値が下がった大学・学科(全40項目)
下降幅が大きい順に並べました。40項目のうち34項目が前期日程です。
| 系統 | 大学・学部・学科 | 日程 | 2026年度用 | 2027年度用 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法学 | 阪大 法-法 | 前 | 61 | 59 | -2 |
| 歯学 | 長崎大 歯-歯 | 前 | 57 | 55 | -2 |
| 医学 | 東大 理三 | 前 | 78 | 77 | -1 |
| 医学 | 京大 医-医 | 前 | 77 | 76 | -1 |
| 医学 | 九大 医-医 | 前 | 70 | 69 | -1 |
| 医学 | 千葉大 医-医(地域枠) | 前 | 69 | 68 | -1 |
| 医学 | 山梨大 医-医 | 後 | 68 | 67 | -1 |
| 医学 | 名大 医-医(地域枠) | 前 | 67 | 66 | -1 |
| 医学 | 神戸大 医-医 | 前 | 67 | 66 | -1 |
| 医学 | 東北大 医-医 | 前 | 67 | 66 | -1 |
| 法学 | 京大 法 | 前 | 65 | 64 | -1 |
| 総合科学 | 京大 総合人間-総合人間(文系) | 前 | 65 | 64 | -1 |
| 人文科学 | 京大 文-人文 | 前 | 64 | 63 | -1 |
| 教員養成・教育 | 京大 教育-教育科学(文系) | 前 | 64 | 63 | -1 |
| 法学 | 一橋大 法-法律 | 前 | 64 | 63 | -1 |
| 工学 | 北大 工-応用理工系 | 後 | 63 | 62 | -1 |
| 工学 | 北大 工-情報エレ | 後 | 63 | 62 | -1 |
| 理学 | 北大 理-物理 | 後 | 63 | 62 | -1 |
| 人文科学 | 阪大 文-人文 | 前 | 61 | 60 | -1 |
| 法学 | 阪大 法-国際公共政策 | 前 | 61 | 60 | -1 |
| 人文科学 | 京都府大 文-国際文化交流 | 後 | 60 | 59 | -1 |
| 総合科学 | 阪大 人間科学-人間科学 | 前 | 60 | 59 | -1 |
| 法学 | 千葉大 法政経-法政経 | 後 | 59 | 58 | -1 |
| 人文科学 | お茶の水女大 生活科学-心理 | 前 | 58 | 57 | -1 |
| 薬学 | 九大 薬-臨床薬 | 前 | 58 | 57 | -1 |
| 教員養成・教育 | 筑波大 人間-教育 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 教員養成・教育 | 東京学芸大 教育-学校教育/初等学校心理 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 教員養成・教育 | 東京学芸大 教育-学校教育/初等英語 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 歯学 | 九大 歯-歯 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 総合科学 | お茶の水女大 共創工-文化情報工 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 薬学 | 東北大 薬 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 薬学 | 九大 薬-創薬科学 | 前 | 57 | 56 | -1 |
| 歯学 | 広島大 歯-歯 | 前 | 56 | 55 | -1 |
| 歯学 | 東北大 歯-歯 | 前 | 56 | 55 | -1 |
| 法学 | 東京都大 法-法 | 前 | 56 | 55 | -1 |
| 薬学 | 岡山大 薬-薬 | 前 | 56 | 55 | -1 |
| 薬学 | 広島大 薬-薬 | 前 | 56 | 55 | -1 |
| 歯学 | 岡山大 歯-歯 | 前 | 55 | 54 | -1 |
| 歯学 | 新潟大 歯-歯 | 前 | 55 | 54 | -1 |
| 歯学 | 九州歯大 歯-歯 | 前 | 52 | 51 | -1 |
最大の下げ幅は-2で、阪大 法-法(前期61→59)と長崎大 歯-歯(前期57→55)の2項目でした。
系統別に見た増減
学部系統ごとに集計すると、上がった系統と下がった系統がはっきり分かれます。
| 系統 | 上がった | 下がった | 計 | 平均増減 |
|---|---|---|---|---|
| 医学 | 0 | 8 | 19 | -0.42 |
| 歯学 | 0 | 7 | 17 | -0.47 |
| 薬学 | 1 | 5 | 19 | -0.21 |
| 理学 | 9 | 1 | 19 | +0.42 |
| 工学 | 6 | 2 | 19 | +0.26 |
| 法学 | 2 | 6 | 18 | -0.22 |
| 人文科学 | 2 | 4 | 19 | -0.05 |
| 総合科学 | 1 | 3 | 18 | -0.11 |
| 教員養成・教育 | 1 | 4 | 18 | -0.17 |
| 全体 | 22 | 40 | 166 | -0.10 |
- 上がった系統:理学(平均+0.42)・工学(+0.26)。理系人気の継続を裏づけます。
- 下がった系統:歯学(-0.47)・医学(-0.42)。医療系の目標ラインが全体的に1ポイント下方修正されました。
- ほぼ横ばい:人文科学(-0.05)・総合科学(-0.11)・教員養成/教育(-0.17)。
注目すべき4つの動き
① 最難関の頂点が1ポイント下がった
| 大学・学部・学科 | 日程 | 2026年度用 | 2027年度用 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 東大 理三 | 前 | 78 | 77 | -1 |
| 京大 医-医 | 前 | 77 | 76 | -1 |
最難関の2つがそろって1ポイント下方修正されました。とはいえ77・76という水準は依然として全国公立の頂点であり、「易しくなった」と受け取るべき変化ではありません。
② 医学部医学科は前期が軒並み1ポイント下降
医学系19項目のうち下降8・上昇0。九大(70→69)、東北大・神戸大(67→66)など、前期の医学科が広く1ポイント下がりました。一方で東京科学大の後期75、阪大の前期74、千葉大の後期73は据え置きです。
医学部志望者にとって重要なのは、この1ポイントが「入りやすくなった」を意味しないこと。目標ラインは各年度の入試難易度予想であり、模試の母集団や問題難易度によっても動きます。
③ 文系難関の法学系が全体的に緩んだ
| 大学・学部・学科 | 日程 | 2026年度用 | 2027年度用 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 阪大 法-法 | 前 | 61 | 59 | -2 |
| 京大 法 | 前 | 65 | 64 | -1 |
| 一橋大 法-法律 | 前 | 64 | 63 | -1 |
| 阪大 法-国際公共政策 | 前 | 61 | 60 | -1 |
| 東大 文一 | 前 | 67 | 67 | ±0 |
東大文一だけが67で据え置き、京大法・一橋大法・阪大法はいずれも下降しました。文系人気の相対的な低下が、最上位を除く法学系のラインに表れています。
④ 北大の後期が「上げ」と「下げ」に分かれた
| 大学・学部・学科 | 日程 | 2026年度用 | 2027年度用 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 北大 法-法 | 後 | 59 | 61 | +2 |
| 北大 理-数学 | 後 | 63 | 64 | +1 |
| 北大 理-地球惑星科学 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 北大 理-生物/高分子機能 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 北大 工-機械知能工 | 後 | 62 | 63 | +1 |
| 北大 工-環境社会工 | 後 | 61 | 62 | +1 |
| 北大 教育-教育 | 後 | 57 | 58 | +1 |
| 北大 工-情報エレ | 後 | 63 | 62 | -1 |
| 北大 工-応用理工系 | 後 | 63 | 62 | -1 |
| 北大 理-物理 | 後 | 63 | 62 | -1 |
北大は今回もっとも変動が大きかった大学です。後期日程で7項目が上昇・3項目が下降し、上位(63の学科)が下がって中位(61〜62の学科)が上がる、ライン差の圧縮が起きています。学科間の難易度が横並びに近づいた形です。
この変化を受験生はどう読むべきか
年度をまたいだ1ポイントの上下に、一喜一憂する必要はありません。むしろ次の3点を押さえてください。
- 1ポイントの変動は誤差の範囲と考える。目標ラインは入試難易度の予想値であり、模試の母集団や問題難易度でも動きます。「下がったから狙い目」という判断は危険です。
- 方向性のほうが情報量が大きい。個別の1ポイントより、「前期が緩み後期が締まった」「理学・工学が上がり医学・歯学が下がった」という全体の流れにこそ意味があります。
- 後期・中期を安易な保険にしない。今回のデータは後期・中期の難化を示しています。「前期がダメでも後期で」という発想は、年々通用しにくくなっています。
そのうえで、志望校の最新ラインと自分の偏差値の差を模試ごとに確認し、残り時間から逆算した計画に落とし込んでいくことが重要です。
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出典:駿台予備学校「大学別合格目標ライン<国公立>」(第1回駿台全国模試/2025年6月1日実施・2026年度入試用、2026年5月31日実施・2027年度入試用)。合格目標ライン=A判定=合格可能性80%以上。掲載データは記事作成時点のものです。最新の入試情報は必ず各大学の募集要項をご確認ください。
