- 東大志望の高校3年生・Halluさんから、10月5日から10日までの6日間に、4題の自由英作文の答案が届きました。点数は 8点 → 13点 → 11点 → 14点(16点満点・当校基準)です。
- 答案には、返却で指摘した内容に対応する変化が現れました。1回目に3か所あった文法の明確な誤りは、2回目にゼロになりました。2回続けて「具体例がない」とお伝えしたあと、3回目に初めて例が入りました。
- 一直線には伸びていません。3回目は11点に下がりました。 その理由も、4回分の答案の原文と一緒に、そのまま載せます。
この記事は、うまくいった1枚を見せる記事ではありません。同じ人が4回書いた答案を並べて、1回ごとに何が変わり、何が残ったかを追う記録です。
最初に、この記事の前提をお伝えします
- 4つの設問は、当校が練習用に作成した課題です。 東大の過去問ではありません。形式は「What does it mean to be 〜?」(〜であるとはどういうことか)で、語数は60〜80語に揃えています。
- 点数は、当校が練習用に設計した16点満点の基準(内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。 東京大学は英作文の採点基準を公開していません。ここでの点数の伸びが、模試や本番の点数の伸びを保証するものではありません。
- 採点は、当校が設定した基準の上でAIが行い、お返しする前に2つの異なるAIで独立に採点し直して、食い違いを確かめています。2つが一致しても、それは正しさの証明ではありません。
- 答案は、本人の同意を得て、本人が登録したニックネームで掲載しています。手書きの答案を書き起こしたもので、誤りも原文のままです。
4回の点数の動き
| 回 | 返却日 | 設問 | 語数 | 内容(6) | 構成(3) | 文法(5) | 語彙(2) | 合計(16) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 10/5 | What does it mean to be wise? | 81語 | 4 | 3 | 0 | 1 | 8 |
| 2 | 10/6 | What does it mean to be fair? | 73語 | 4 | 3 | 5 | 1 | 13 |
| 3 | 10/8 | What does it mean to be humble? | 78語 | 6 | 3 | 1 | 1 | 11 |
| 4 | 10/10 | What does it mean to be brave? | 81語 | 5 | 3 | 5 | 1 | 14 |
表から読み取れることは3つです。
- 合計点を動かしたのは、ほとんど文法です(0 → 5 → 1 → 5)。この基準では、明確な誤り1か所につき原則2点を引きます(下限は0点)。誤りが0・1・2・3か所なら、5・3・1・0点です。
- 内容は、具体例が入った回に上がりました(4 → 4 → 6 → 5)。
- 構成は4回とも満点、語彙は4回とも1点でした。動かなかった観点もあります。
なお、1回目と4回目の答案は81語で、指定の上限(80語)を1語超えています。当校の今回の採点では、語数による減点をしていません(返却では「範囲に収めておくのが安全です」とお伝えしています)。
以下、1回ずつ見ていきます。
1回目:8点。文法の明確な誤りが3か所
What does it mean to be wise?(60〜80語)
I think it is to believe yourself and not to worry about trivial things. Nowadays, a plenty of people tend to be influenced by others, and to change their thought easily. If want to lead a good life, it is not clever to be passive, and you should take a action by yourself, and not make little of your idea. In conclusion, the key to being wise, these days, is to think positively and not to depend on others too much.
(81語。内容4・構成3・文法0・語彙1)
構成は最初から満点でした。Nowadays → If → In conclusion と、接続の言葉で流れが追えます。「他人に流されやすい人が多い」という背景を置いてから主張に入る組み立ても、自由英作文の形としてよくできています。
点を落としたのは、文法(−5)、内容(−2)、語彙(−1)の3つです。大きかった2つを見ます。
文法(0点):明確な誤り3か所
| 答案 | 直した形 | 何が起きていたか |
|---|---|---|
| a plenty of people | plenty of people | plenty of の前に a は付けません |
| If want to lead a good life | If you want to lead a good life | 主語が抜けています |
| take a action | take action | ここでは一般的に「行動を起こす」という意味なので、冠詞なしの take action が自然です |
0点という数字は、文法が全体にできていないという意味ではありません。1か所2点の減点が3回重なって、下限に届いたということです。
内容(4点):具体例がない
「流されずに自分で判断する」と書いてあっても、その場面が1つも出てきません。抽象のまま4文が続くと、読み手は定義を確かめる手がかりを持てません。ここで2点を引いています。
語彙の1点は、believe yourself(→ believe in yourself)など3か所をまとめて引いたものです。
返却の最後に、「次に書くときにやること」を2つだけお伝えしました。
1. 定義を1文で言い切り、その場面を1つ書く。 2. 書き終わりの最後の1分を、主語・冠詞・語数の確認だけに使う。
2回目:13点。文法の誤りがゼロになった
翌日に届いた答案です。
What does it mean to be fair?(60〜80語)
I think that being fair means hearing different arguments. Nowadays, you tend to be part of the majority and to be ignorant of the opinions of the minority. If you dismissed any thoughts of the minority, you would not realize how important those are, and the minority would never be accepted by you. Therefore, you should give some chances to them, and consider their opinions. It is unfair to ignore their opinions completely.
(73語。内容4・構成3・文法5・語彙1)
1回目に3か所あった明確な誤りが、1つもありません。 主語の抜けも、冠詞の誤りもなくなりました。文法は0点から5点へ。合計の5点の伸びは、すべてここから来ています。
1文目の形も変わりました。1回目は I think it is to believe yourself … で、設問の語(wise)が文の中にありませんでした。2回目は being fair means … と、設問の語を主語にして定義を言い切る形になっています。
一方で、変わらなかった点もあります。具体例は、今回もありませんでした。 内容は4点のままです。
語彙は、3か所をまとめて1点引きました。たとえば the minority would never be accepted by you は、前の文まで「少数派の意見」の話をしていたのに、ここだけ「少数派(の人)」が受け入れられる話になっています。指したいのが意見なら、the minority を their opinions に替えて、you would never accept their opinions と書くと明確になります。
「次に書くときにやること」の1つ目は、前回と同じ内容になりました。
1. 定義のあとに「たとえば〜」の場面を1つ入れる。 2. 「誰が何をするか」が見える形で書く。
3回目:11点。内容は初の満点、文法で4点を失った
前回から2日後に届いた答案です。
What does it mean to be humble?(60〜80語)
I think that being humble means making a constant effort and not being proud of yourself. When you achieve your goal, you tend to feel satisfied and want to share your feat with others. However, just because you achieved your goal, it does not mean you did all things you can. For example, if you have a good grade in exams, it does not mean you become genius. Therefore, you should not overestimate yourself, keep making an effort.
(78語。内容6・構成3・文法1・語彙1)
For example が、初めて入りました。 「試験で良い成績を取っても、天才になったわけではない」という例が、「目標を達成しても、やれることをやり尽くしたわけではない」という主張を支えています。2回続けてお伝えしたことが、3回目で答案に現れました。内容は4点から6点へ。4回の中で唯一の満点です。
それでも、合計は13点から11点に下がりました。文法の明確な誤りが2か所あったからです。(語彙は、have a good grade in exams → get a good grade on an exam など2か所をまとめて1点引いています。)
| 答案 | 直した形 | 何が起きていたか |
|---|---|---|
| you become genius | you become a genius | ここでの genius は「天才(である人)」を指す数えられる名詞なので、a が必要です |
| you should not overestimate yourself, keep making an effort | you should not overestimate yourself, but keep making an effort | 2つの動詞句を、コンマだけでつないでいます |
2つ目は、ここでは but が合います。元の文に and だけを足して should not overestimate yourself and keep … とすると、not が keep にもかかって「努力を続けることもしない」と読める余地が出るためです。
内容が2点上がり、文法が4点下がった。差し引きで2点の減少です。 答案に現れた事実は、「例が初めて入った回に、2回目にはなかった冠詞の誤りが再び出た」ということです。なぜそうなったのかは、本人に確かめていないので分かりません。新しいことを1つ足した回に、前の回にはなかった誤りが出る——当校の添削では、ときどき見る動きです。
4回目:14点。例を残したまま、文法がまた満点になった
さらに2日後に届いた答案です。
What does it mean to be brave?(60〜80語)
I think being brave means believing in yourself and questioning widespread information. Thanks to the development of the Internet, you can get a lot of information quickly and be influenced easily by it. However, it is not always true, so you need to distinguish correct information from false information. For example, when you hear the rumor going viral, you should not be absorbed in it. However, it is difficult to be skeptical. Therefore, you need an ability to believe in yourself.
(81語。内容5・構成3・文法5・語彙1)
For example を残したまま、文法の明確な誤りがゼロに戻りました。 3回目にあった冠詞の抜けも、コンマだけのつなぎも、今回はありません。4回の中での最高点です。
もう1つ、小さいけれど大事な変化があります。1回目の答案の believe yourself を、返却で believe in yourself に直しました(believe yourself は「自分の言うことを信じる」の意味になります)。4回目の1文目は believing in yourself。5日前の指摘が、別の設問の答案で、正しい形で使われています。
残った2点は、次のとおりです。
内容(5点):例が一般的
when you hear the rumor going viral, you should not be absorbed in it(拡散しているうわさを聞いたら、それに夢中になってはいけない)。例の形にはなっていますが、どんなうわさなのか、そのとき勇敢な人が何をするのかが見えません。3回目の「試験の成績」に比べて、場面の具体さが一段落ちています。ここで1点を引きました。
採点には入れていませんが、いちばん惜しいのは、なぜ情報を疑うことに勇気が要るのかが書かれていないことです。答案は it is difficult to be skeptical(疑うのは難しい)まで来ています。「みんなが信じていることを疑うのは怖い。だから勇気が要る」と一言足せば、設問の brave にまっすぐつながります。
語彙(1点):1か所
be absorbed in は「(何かに)夢中になる・没頭する」という意味です。「うわさに夢中になるな」という文としては成り立ちます。ただ、前後の流れ(正しい情報と誤った情報を見分ける)からすると、言いたいのは「鵜呑みにしない」だと読めます。その意味なら、should not simply believe it が合います。
4回目の答案を土台にした、当校の書き直し例(79語)
I think being brave means believing in yourself and questioning widespread information. Thanks to the Internet, you can get a lot of information quickly and be easily influenced by it. However, it is not always true, so you need to distinguish correct information from false information. For example, when a rumor about a classmate goes viral, you should not simply believe it. It is difficult to doubt what everyone believes. Therefore, you need the courage to believe in yourself.
元の答案から変えたところは、次のとおりです。
- 1文目・3文目:元の答案のまま。
- 2文目:語数を収めるために the development of を外し、
be influenced easilyをbe easily influencedの語順にしました。 - 4文目:例を「クラスメートについてのうわさ」という場面にして、
be absorbed inをsimply believeに直しました。 - 5文目:However を外して、何を疑うのが難しいのかを書きました。
- 6文目:
an abilityをthe courageに替えました。
このうち、「クラスメートのうわさ」という場面、「みんなが信じていることを疑うのは難しい」という理由、courage という語の3つは、当校が補ったものです。それ以外は、Halluさんの元の表現を生かしています。
4回を通して、何が変わったのか
| 見るところ | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|
| 文法の明確な誤り | 3か所 | 0 | 2か所 | 0 |
| 1文目の定義 | 設問の語がない | being fair means … | being humble means … | being brave means … |
| 具体例(For example) | なし | なし | あり | あり(やや一般的) |
| 構成 | 満点 | 満点 | 満点 | 満点 |
| 語彙 | 1点 | 1点 | 1点 | 1点 |
変わったことは3つです。文法の明確な誤りがない回が2回あったこと。1文目で設問の語を使って定義を言い切るようになったこと(2回目から)。具体例を入れるようになったこと(3回目から)。どれも、返却でお伝えした内容に対応する変化です。ただし、答案に現れた時期は、指摘によって違いました。
変わっていないこともあります。語彙は4回とも1点でした。文としては成り立つけれど、言いたいことと少しずれる語(1回目の believe yourself、4回目の be absorbed in など)が、毎回出てきます。ここは次の課題として残っています。
そして、点数の動きは一直線ではありませんでした。 13点のあとに11点が来ています。4回の記録を1枚ずつ見れば、下がった回にも「例が初めて入った」という変化がありました。合計点だけを見ていると、この変化は見えません。観点ごとに点を分けているのは、そのためです。
なお、4回は設問がすべて違います。この点数の動きから、英作文の力そのものがどれだけ伸びたかまでは言えません。言えるのは、当校の基準で見た4枚の答案がこう変わった、ということです。
この事例の持ち帰り
- 返却された指摘のうち、次の1回で直すものを2つに絞る。 当校の返却には毎回「次に書くときにやること」を2つだけ書いています。Halluさんの答案では、定義の書き出しは2回目に、具体例は3回目に変化が現れました。
- 書き終わりの1分で、確認する項目を決めておく。 この基準では、明確な誤り1か所につき原則2点を引きます。冠詞(a / the)、主語の抜け、コンマだけのつなぎ。見る場所を決めておくと、見直しの時間が短くても拾いやすくなります。
- 新しいことを1つ足した回は、前の回に指摘されたことも確かめ直す。 3回目は、例が入った一方で、冠詞の誤りが再び出ました。
- 合計点ではなく、観点ごとの点を見る。 11点の回に、内容は初めて満点でした。
東大英作文の全体像は東大英作文の完全ガイドに、この記事で扱った定義型(What does it mean to be 〜?)の書き方は定義型の書き方に、頻出の減点は東大英作文でよくある減点ポイントにまとめています。同じ形式の解答例は定義型の解答例6本、1枚の答案を1文ずつ分解した事例は13点/16点の答案を詳しく見るをご覧ください。
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※採点基準について:東京大学は英作文の採点基準を公開していません。本記事の点数はすべて、受講生が受験した駿台の東大実戦・河合塾の東大オープンの答案採点実績と、合格者の得点開示との照合を積み重ねてイエナアカデミーが独自に設計した基準(駿台方式16点満点=内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。点数の推移は当校の基準での評価であり、模試・入試での得点や合否を保証するものではありません。東京大学および各予備校の関係者は本コース・本記事に一切関与していません。
※採点はイエナアカデミーの専門家が設定した採点基準の上でAIが行っており、その正確性は保証しておりません。厳密な判断については信頼のおける方にお尋ねください。なお、AIは語数のカウントが苦手なため、語数による減点は行っていません。
※答案の掲載について:生徒の答案は本人の同意のもと、本人が登録したニックネームで掲載しています。個人が特定できる情報は載せていません。お申し出があれば、速やかに取り下げます。
