- 東大志望の受験生・shickeyさんの答案2枚の記録です。点数は 11点 → 13点(16点満点・当校基準)でした。
- 1回目の返却で「いちばん大きな伸びしろ」としてお伝えしたのは、具体例がないことでした。2回目の答案には税の例が入り、内容は4点から6点(満点)になりました。
- 一方で、1回目と同じ形で残ったこと(最後の文が提言の形になる・ピリオドの抜け)と、新しく出た文法の誤りもあります。点数が上がった回にも、直すところは残っています。
この記事では、2枚の答案を並べて、何が変わり、何が変わらなかったかを分けて追います。
この記事の前提
- 2つの設問は、当校が練習用に作成した課題です。 東大の過去問ではありません。形式は「What does it mean to be 〜?」(〜であるとはどういうことか)で、語数は60〜80語です。
- 点数は、当校が練習用に設計した16点満点の基準(内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。 東京大学は英作文の採点基準を公開していません。ここでの点数の伸びが、模試や本番の点数の伸びを保証するものではありません。
- 採点は、当校が設定した基準の上でAIが行い、お返しする前に2つの異なるAIで独立に採点し直して、食い違いを確かめています。2つが一致しても、それは正しさの証明ではありません。
- 答案は、本人の同意を得て、本人が登録したニックネームで掲載しています。手書きの答案を書き起こしたもので、誤りやピリオドの抜けも原文のままです。
2回の点数の動き
| 回 | 返却日 | 設問 | 語数 | 内容(6) | 構成(3) | 文法(5) | 語彙(2) | 合計(16) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 10/1 | What does it mean to be wise? | 62語 | 4 | 3 | 3 | 1 | 11 |
| 2 | 10/12 | What does it mean to be fair? | 73語 | 6 | 3 | 3 | 1 | 13 |
点数が動いたのは内容だけです(4 → 6)。構成・文法・語彙は、2回とも同じ点でした。
ただし、文法は同じ3点でも、誤りの中身は入れ替わっています。 1回目の誤りは2回目には出ず、代わりに別の誤りが1か所出ました。この基準では、明確な誤り1か所につき2点を引きます(下限は0点)。誤りが0・1・2・3か所なら、5・3・1・0点です。なお、今回の2枚の採点では、ピリオドの抜けは文法の減点に数えていません(返却では「文の区切りとして直す」助言としてお伝えしています)。
1回目:11点。「具体例がない」で内容が4点
What does it mean to be wise?(60〜80語)
I think that to be wise is to be able to consider how your action functions in advance. Wise people should think not only themselves but also people around them If you can’t afford to do what you should do, you can’t consider people around you. So you need to act with plenty of time in order to be a wise person
(62語。9月28日に写真で届いた答案の書き起こしです)
| 観点 | 点数 | 返却でお伝えしたこと |
|---|---|---|
| 内容 | 4/6 | 具体例がない(−2)。最後の文が「〜しなさい」という行動のアドバイスの形で、「賢いとはどういうことか」の言い直しまでは届いていない(減点なし・助言) |
| 構成 | 3/3 | 定義 → 対象の拡張 → 条件 → So で結論。一本の筋が通っている |
| 文法 | 3/5 | Wise people should think not only themselves but also people around them → … think not only of themselves but also of people around them(「〜について考える」の think には of / about が要る。−2) |
| 語彙 | 1/2 | how your action functions(function は「機能する」)→ what effect your actions will have、act with plenty of time → give yourself enough time、afford(お金の余裕とも読める)の3つをまとめて −1 |
返却では、いちばん大きな伸びしろとして「前もって考える」を場面として1つ見せることをお伝えし、例として「怒っているときにメッセージを送る前に、相手がどう読むかを一度想像する」という1文を示しました。
返却のあとにお送りしたもの
1回目の返却のあと、10月3日に、shickeyさんの着想(行動の影響を前もって考える・自分だけでなく周りの人まで)をそのまま使った書き直し例(76語)もお送りしました。並びは「定義 → 具体例 → その例がなぜ定義に効くのか → 定義の言い直し」です。この書き直し例は、定義型の解答例6本の1本として公開しています。
2回目の答案は、この返却と書き直し例を読んだあとに書かれたものです。設問の違う2題の比較なので、返却の指摘と書き直し例のどちらが、どの程度この変化につながったかまでは分かりません。
2回目:13点。税の例が入り、内容が満点に
What does it mean to be fair?(60〜80語)
I think that to be fair is that people are treated depending on their situation. I think it is fairness not equality that is an important thing for a lot of people to live comfortably For example, if the same taxes are imposed on us, low-income families can’t afford to buy what humans need to live Therefore, we should think much of fairness and look for approaches that take various people into account.
(73語。10月12日に写真で届いた答案の書き起こしです。本人が末尾に書いた語数「73 words」とも一致しました)
| 観点 | 点数 | 返却でお伝えしたこと |
|---|---|---|
| 内容 | 6/6 | 減点なし。税の例が「状況に応じて扱う」という定義を支えている |
| 構成 | 3/3 | 定義 → 平等との対比 → For example → Therefore。最後の approaches that take various people into account が、1文目の「状況に応じて」に戻っている |
| 文法 | 3/5 | 1文目の to be fair is that people are treated …(−2。後述) |
| 語彙 | 1/2 | think much of fairness → value fairness(−1。後述) |
変わったこと:具体例が入った(内容 4 → 6)
For example, if the same taxes are imposed on us, low-income families can’t afford to buy what humans need to live
1回目になかった具体例が、2回目には入りました。この例は、誰が・何によって・どうなるかが1文の中で見えます。そのうえで定義を支える例になっていて、内容面でほかに減点する点もなかったため、内容は満点としました。
| 例の中にあるもの | 答案の語 |
|---|---|
| 誰が | low-income families(低所得の家庭) |
| 何によって | the same taxes(全員に同じ税) |
| どうなるか | can’t afford to buy what humans need to live(生活に必要なものが買えない) |
「同じに扱うと、状況の違う人が困る」という場面が見えるので、1文目の「公平=状況に応じて扱うこと」という定義を、例が裏づけています。
当校の基準では、具体例を次の3段階で見ています。
- 例がない → 内容 −2(1回目の答案)
- For example はあるが、一般論で場面が見えない(「1人だけを特別扱いすること」など) → 内容 −1
- 出来事や状況が見える例 → 減点なし(今回の答案)
今回の例は、本人の体験ではなく、社会の仕組み(税)の例です。それでも、当事者と原因と結果が見えるので、場面のない一般論とは区別しています。具体例は、自分の体験でなくても構いません。
さらに強くするなら、例が「同じ扱いだと困る側」だけで終わっているところに、「では公平な扱いとは何か」(たとえば、低所得の家庭には税を軽くする)を1文足すと、例と定義のつながりを、さらに直接示せます。返却ではこれを助言としてお伝えしました(減点はしていません)。
変わらなかったこと:最後の文が提言の形
| 回 | 最後の文 |
|---|---|
| 1 | So you need to act with plenty of time in order to be a wise person |
| 2 | Therefore, we should think much of fairness and look for approaches that take various people into account. |
2回とも、最後の文は「〜すべきだ」という提言の形です。1回目の返却では「定義の言い直しで締める」ことを助言していて、2回目もこの点が引き続きの課題になりました。
ただし、2回目は後半の approaches that take various people into account(さまざまな人を考慮に入れる方法)が、1文目の「状況に応じて」に戻っています。そのため、今回も減点はしていません。設問は「〜とはどういうことか」なので、being fair means …(公平とは〜することだ)と定義の言い直しで締めるほうが、答えとしてより確実です。
ほかに2回とも同じだったのは、ピリオドの抜け(2回とも2か所)と、語彙が1点だったことです。語彙は、1回目が functions・plenty of time・afford の3つの指摘をまとめて −1、2回目が think much of で −1 と、毎回違う語でした(2回目の humans などは、減点しない助言としてお伝えしています)。
think much of は「高く評価する・重んじる」という意味で、「公平を重んじる」という意図は伝わります。ただ、ふつうは not と一緒に「大したことはないと思う」(I don’t think much of it.)の形で使われる表現です。肯定文で「公平を重んじる」と言うなら、value fairness が自然です。
新しく出た誤り:1文目の形
| 回 | 1文目の書き出し | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | to be wise is to be able to consider … | 正しい形 |
| 2 | to be fair is that people are treated … | 明確な誤り(−2) |
1回目は to be wise is to … の形で書かれていた定義の文が、2回目は別の形になり、ここが修正の対象になりました。2回目の文では、主語の「公平であること(to be fair)」と、that 以下の「人々が状況に応じて扱われること」がうまくつながっていません。「公平であるとは〜することだ」という定義の文は、to be fair is to treat …(または Being fair means treating …)の形でそろえます。
1回目に指摘した think の後ろの of の抜けは、2回目の答案には見られません(同じ語法を使う場面がなかったので、直ったとまでは言えません)。一方で定義の文に別の誤りがあり、文法の減点対象は今回も1か所で、点数は同じ3点でした。
返却したブラッシュアップ例(71語)
2回目の返却では、shickeyさんの4文を土台にして、誤りを直し、公平な扱いの1文を足した形をお送りしました。一から書いた見本ではありません。
I think that to be fair is to treat people differently depending on their situation. It is fairness, not equality, that allows many people to live comfortably. For example, if the same taxes are imposed on everyone, low-income families cannot afford to buy what they need to live. Instead, letting them pay less is the fair choice. Therefore, being fair means looking for approaches that take each person’s situation into account.
| 元の文 | 変えたところ |
|---|---|
| 1文目(定義) | to be fair is that people are treated → to be fair is to treat people(differently を補った) |
| 2文目(平等との対比) | 重なる I think を外し、an important thing for … を that allows many people to live comfortably にまとめた |
| 3文目(税の例) | 場面はそのまま。on us → on everyone、humans → they |
| (新しい1文) | 低所得の家庭には税を軽くするのが公平な選択だ、という公平な扱いの側を補った |
| 4文目(結論) | 提言の we should … を、定義の言い直し being fair means … にした。look for approaches that take … into account という本人の表現を活かし、語形を looking に、対象を each person’s situation に変えた |
内容としてこちらで補ったのは、「税を軽くする」という1文と、differently の1語です。そのほかの変更は、誤りの訂正と言い回しの整理で、考えの中身はshickeyさんの答案のものです。
よくある質問:具体例は、毎回必ず入れたほうがいいですか?
今回の2題のような定義型の課題について、当校の現在の採点では、例がない答案は内容から2点を引いています。60〜80語の答案で例に使えるのは1〜2文ほどですが、その1文があるかどうかで、内容の点が変わります。
特に、語数が下限(60語)の近くで止まりやすい人は、例の1文が語数と内容の両方を埋めてくれます。今回の2回目の答案も、例の1文(21語)が入って73語になりました。
ただし、例を入れれば内容点が必ず上がるわけではありません。For example のあとが一般論で場面が見えなければ、内容から1点を引きます。例が定義を裏づけているかどうかが分かれ目です。
この事例の持ち帰り
- 返却で「いちばん大きな伸びしろ」と言われたことから直す。 今回は具体例の1文が入り、当校基準での内容の減点がなくなりました(4点→6点)。
- 具体例は、誰が・何によって・どうなるかを1文に入れる。 自分の体験でなくても構いません。
- 点数が上がった回も、観点ごとに見直す。 2回目は合計が上がった一方で、1文目の定義の形が修正の対象になりました。定義の1文目は、たとえば to be ○○ is to 〜(または Being ○○ means 〜ing)の形で書くと安全です。
- 最後の文は、提言ではなく定義の言い直しで締める。 2回とも残った課題です。
東大英作文の全体像は東大英作文の完全ガイドに、この記事で扱った定義型(What does it mean to be 〜?)の書き方は定義型の書き方に、頻出の減点は東大英作文でよくある減点ポイントにまとめています。4回分の答案を追った事例は8点→14点。たった4回・6日間の添削記録をご覧ください。
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※採点基準について:東京大学は英作文の採点基準を公開していません。本記事の点数はすべて、受講生が受験した駿台の東大実戦・河合塾の東大オープンの答案採点実績と、合格者の得点開示との照合を積み重ねてイエナアカデミーが独自に設計した基準(駿台方式16点満点=内容6・構成3・文法5・語彙2)によるものです。点数の推移は当校の基準での評価であり、模試・入試での得点や合否を保証するものではありません。東京大学および各予備校の関係者は本コース・本記事に一切関与していません。
※採点はイエナアカデミーの専門家が設定した採点基準の上でAIが行っており、その正確性は保証しておりません。厳密な判断については信頼のおける方にお尋ねください。なお、AIは語数のカウントが苦手なため、語数による減点は行っていません。
※答案の掲載について:生徒の答案は本人の同意のもと、本人が登録したニックネームで掲載しています。個人が特定できる情報は載せていません。お申し出があれば、速やかに取り下げます。
